ブロックチェーン・レボリューション  Don and Alex Tapscott  2017.6.7.

2017.6.7.  ブロックチェーン・レボリューション
Blockchain Revolution         2016

著者 
Don Tapscott ハプスコット・グループCEO。イノベーション、メディア、グローバリゼーションに関する世界的権威。テクノロジーが企業と社会にもたらす経済的・社会的影響を世に問う第一人者として知られる。世界的ベストセラーとなった『ウィキノミクス』や英エコノミスト誌ベスト・ビジネス書に選出された『デジタルネイティブが世界を変える』など多数の著書
Alex Tapscott 投資銀行での実務を経て、ブロックチェイン関連ビジネスへのアドバイザリーを行うベンチャーを創業。若手オピニオン・リーダーとしてタイム誌やハーバード・ビジネス・レビュー誌ほか多数の有名メディアに寄稿

訳者  高橋璃子 翻訳家。京大卒後ソフトウェア開発者から独立

発行日           2016.12.1. 第1刷発行                 2016.12.22. 第2刷発行
発行所           ダイヤモンド社

ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか

Part 1. 革命が始まる Say You Want a Revolution
第1章     信頼のプロトコル
経済の仕組みをがらりと書き換え、人の営みを新たな形に再構築する
インターネットの欠陥を補って、さらに発展させる技術
オンラインでのアイデンティティの問題は未解決 ⇒ ネット上で安全に取引するためには、銀行や政府などの第3者に問い合わせて相手が信用に足るかどうかを教えてもらわなくてはならない。銀行や政府は、データを集めプライバシーを侵害し、それを商売や安全保障のために利用している。銀行に口座を持てない人が世界中に25億いる
インターネットは、人の権利をこれまでにない形で守り、同時に侵害する手段になった
オンラインのコミュニケーションとショッピングの爆発的な普及は生活を便利にしたが、ネット犯罪の危険性を急激に高めた
暗号技術は着実に進化したが、第3者が介入している限り、完璧に穴を塞ぐことはできない ⇒ クレジットカードによるオンライン決済は、あまりに多くの個人情報を危険に晒し、なおかつ手数料が高額で少額決済は割に合わない
08年発明されたビットコインは、暗号通貨を使った、P2P方式の全く新しい電子通貨システム ⇒ 従来の通貨との違いは、発行にも管理にも国が関与しない。一連のルールに従ったコンピューティングによって、信頼された第3者を介入することなく、端末間でやり取りされるデータに嘘がないことを保証する
分散型信頼ネットワーク ⇒ 信頼を認証するのは多数の人々のコラボレーションであり、その動力源は大企業の儲けではなく、個々の小さな利益の集まりであり、「信頼のプロトコル」と呼び、それをベースとして、世界中に分散された帳簿がその数をどんどん増やす、それが「ブロックチェーン」と呼ばれるもの
従来の「情報のインターネット」に対し、「価値とお金のインターネット」と言える
オープンソースで、誰でも真実を知ることができるプラットフォーム
ブロックチェーンを使って、従来の情報管理を一新し、セキュリティを向上させる
ブロックチェーンの真骨頂は、ビットコイン・モデルで、今後ブロックチェーンを使った画期的なサービスはすべて、ビットコインの仕組みをベースに作られている
ビットコインの仕組み:
バーチャルな通貨。ブロックチェーンというあらゆる取引を記録する世界規模の帳簿のようなものを使い、P2Pネットワーク(サーバーを介さず、個々の参加者が対等な立場で直接やり取りするネットワーク)に支えられる
ネットワークの参加者たちが取引の正しさを検証し、承認する
ビットコインのデータは、ブロックという形で記録される。ブロックとは、一定時間内に行われた取引データを1つの塊にしたもの。約10分に1つ作られ、過去のブロックの後ろに追加されていく
ブロックチェーンの特徴は、ネットワーク上においてあるパブリックのもので、いつでもだれでも自由に見られるし、データの正しさを検証できる
暗号技術を利用した高度なセキュリティが備わる ⇒ 公開鍵と秘密鍵の2つを利用して、自分の資産を確実に守ることが可能
取引データが個人情報と結びつかないので、大事な情報が盗難・流出する心配はない
10分ごとに情報が更新されるので、データを改竄することは不可能に近い
どんな取引でも事象でも記録できる ⇒ 個人の出生や結婚、不動産の権利、職歴等々
このプラットドームが普及すれば、あらゆることをリアルタイムで電子的に照合できる
ブロックチェーンの本質は、価値の交換にある
シェアリング・エコノミー(Uber, AirB&Bなど)も集中管理が廃れ、ユーザーが必要条件を入力すればブロックチェーン上のデータからそれに合うものが抽出され、誰かに仲介してもらわなくても、データがそれを教えてくれる
経済のみならず、政治の世界もコスト削減とパフォーマンス向上が望める ⇒ よりオープンで、誠実で透明度の高いものに

第2章     未来への果敢な挑戦
原則1.   信頼:嘘をつかないネットワーク
信頼が日々のやり取りの中に組み込まれ、ネットワーク上に分散されている
二重使用を阻止する仕組みがシステムに組み込まれている
原則2.   権力:力の集中から分散へ
全体を管理する中心が存在しない ⇒ 悪意をもって一部の端末を乗っ取っても、システム全体をコントロールすることはできない
原則3.   インセンティブ:利己的な行動が全体の利益になる
ビットコインなどの通貨やネットワーク内での評判という価値がインセンティブとして機能し、正しい行動を促進するようにできている
誰もが自分の為を考えて行動すれば、それがネットワークを正しく機能させる力になる
原則4.   セキュリティ:不正のできないプラットフォーム
中心がないので、どこか1カ所の不具合で全体がダウンするような単一障碍点が存在せず、データは暗号で守られて勝手に改竄や否認ができない
原則5.   プライバシー:個人情報のブラックボックス化
原則6.   権利:スマートコントラクトによる明確化と自動化
ブロックチェーンの取引記録には、取引成立時のタイムスタンプが含まれ、使用履歴を明確にして、二重使用が防止され、PKIの仕組みによりすべてのコインやその他の資産は正当な所有者の鍵でしっかりと守られているので、人のものを勝手には使えない
PKI ⇒ Pulic Key Infrastructure「公開鍵基盤」という暗号技術を利用したセキュリティの仕組み
原則7.   インクルージョン:格差を解消するデザイン
経済活動への参加を誰にでも公平に認めることにより、所得を分散させる

Part 2. ブロックチェインンは世界をどう変えるのか Transformations
第3章     金融を再起動する――錆びついた業界をリブートする8つの指針
変化の領域1.     本人認証・取引認証 ⇒ 取引データの正しさをネットワークが保証する。暗号アルゴリズムで保護されたアイデンティティを構築し、必要な情報を安全・確実に開示することで、必要な信頼を構築できる
変化の領域2.     価値の移動 ⇒ あらゆる取引の標準的な手段となる。どんな価値でもブロックチェーンに登録することが可能で、取引の対象となる
変化の領域3.     価値の保存 ⇒ リスクフリーな価値を保存する手段となり、資産の購入・保有が効率的となる
変化の領域4.     価値の貸し借り ⇒ 価値の貸し借りはもっと柔軟に。ネットワーク上で自由に貸借が可能
変化の領域5.     価値の交換 ⇒ 全ての取引は僅か10分で記録され、決済が完了
変化の領域6.     資金調達・投資 ⇒ 面倒な手続きの多くが自動化され、仲介業者も排除される
変化の領域7.     リスクマネジメント ⇒ 取引成立と同時に決済が完了するので、不払いのリスクはない。透明性の高いリスクヘッジが可能に
変化の領域8.     会計 ⇒ あらゆる財務情報がリアルタイムで可視化され、正確な情報が誰でもいつでも利用可能に
金融業界のインフラを根本から変える ⇒ 2016.1.1.「ナスダック・リンク」立ち上げ、ブロックチェーンを利用した未公開株式取引システムを使った第1号の取引を記録
2015年秋、世界の大手銀行9行が、ブロックチェーン技術の活用に向けた「R3コンソーシアム」立ち上げ
複式簿記から3式簿記へ ⇒ 貸方借方に加えて、ブロックチェーンを追加し、売上仕入れ等企業活動の全てをタイムスタンプ付きでブロックチェーンに記録する
ブロックチェーンIPO ⇒ ビットコインに続いて、20157月イーサリアムも独自のブロックチェーンを立ち上げ、ネイティブトークン(イーサー)を売り出し、ビットコインに次いで2番目に長いブロックチェーンとなっている

第4章     企業を再設計する――ビジネスのコアと境界はどこにあるのか
会社を車輪のハブに例える。中心となるハブから、いくつものプロジェクトが「スポーク」として広がる。メンバーは自分の仕事を自分で決め、常にいくつかのプロジェクトに関与、プロジェクトのオーナーシップは、イーサーにいつでも換えられるトークンによって各メンバーが参加しているプロジェクトを所有する。それぞれが自立したエージェントで、お互いのコラボレーションで仕事が成り立つ
活発なコミュニケーションを通じてやるべき仕事を決定し、仕事を自主的に分担し、役割や報酬を調整する。そして決まった内容を、「隅々まで明確な、自動的に執行される取り決め」に記述する
会社が存在するのは、取引コストの効率化のため。取引コストとは以下の3
  検索コスト  人材や情報やリソースを見つけるためのコスト
  契約コスト  報酬や仕事の条件、秘密保持などの契約を締結して実行するコスト
  調整コスト  全員がスムーズに協業するためのコスト
インターネットは、検索コストを大幅に削減。アウトソーシングはその出発点。PGのイノベーションの6割は社外とのコラボレーションから生まれたもの ⇒ ブロックチェーンを使えば、もっとシームレスに実行可能
契約コストも、ブロックチェーン上のスマート・コントラクトという契約を使えば、それ自体の強制力から、プログラムが勝手に実行してくれる
調整に関わるコストを下げるために企業はヒエラルキーという仕組みを作ったが、ブロックチェーンのスマート・コントラクトによる明確なタスク設定と報酬システムにより、仕事の内容を透明化し、やるべき仕事の確実な遂行が保証される
コストが大幅に削減されたからといって、企業の存在意義が薄れるわけではない。企業文化やブランドイメージはビジネスを支える重要な要素であり続ける

第5章     ビジネスモデルをハックする――オープンネットワークと自律分散型企業
08AirBnBサービス開始 ⇒ 瞬く間に250億ドルのプラットフォームに成長したが、ブロックチェーンに載せれば、ユーザー同士が直接やり取りすることになるので、本当の意味でのシェアリング・エコノミーが実現
オープンネットワークがもたらす7つの革新:
  ピアプロデューサー ⇒ 世界各地で自発的に生産に参加する人によって、効率的で質の高い価値創造が可能に
  スマート著作権管理 ⇒ クリエーターは自分の作品の対価を正しく受け取ることができる
  シェアリング・エコノミー ⇒ 同じ目的を持つ人が手を結び、共通のニーズを満たすために力を合わせて行動できるようになる
  メ-タリング・エコノミー ⇒ 必要な時に必要なだけ使用するという究極のシェアリング
  プラットフォーム・ビルダー ⇒ 顧客でありながら生産者でもあるプロシューマ―を含め、人々の知恵を活用するためのオープンプラットフォームを創出するという選択肢もあって、ブロックチェーンの技術を使えば、コラボレーションのプラットフォームを迅速に立ち上げられるし、業界全体に広げることも容易
  ブロックチェーン・メーカー ⇒ 製造ラインがブロックチェーン化されるということは、各部品の由来がクリアになることを意味。特に食品では重要な役割をする
  エンタープライズ・コラボレーション ⇒ 企業のあらゆるデジタル資産を扱えるようになり、内外で価値あるコラボレーションが創発される
ビジネスモデル・イノベーション ⇒ 企業を維持するコストが外部との取引コストを下回っている限りにおいて、企業はその規模を拡大できる。逆に言えば、取引コストより安くなる所まで企業の規模を縮小すべきということになり、企業は最小限まで縮小し、最後はソフトウェアと資本だけが残る=自律分散型企業

第6章     モノの世界が動き出す――ブロックチェーン・オブ・シングズ
モノをインターネットに接続する技術のことをIOT
メッシュ・ネットワーク ⇒ モノ同士が無線で直接接続され、お互いに通信し合って自律的なナットワークを形成する技術のこと。どこかに欠陥が生じても自動的に他のモノがカバーする
マイクログリッドとリアルタイムの電力マーケットが実現
ブロックチェーンがIOTに命を吹き込む ⇒ 分散ネットワークによってすべての取引の正しさが保証される仕組みを設計
創造的破壊の12のエリア
  交通  自動運転、物流の自動化
  インフラ管理 ⇒ スマートデバイスを使ってインフラの状態を管理する技術が広がる
  エネルギー・水・廃棄物 ⇒ 生産、分配、消費、収集まであらゆる活動にスマートデバイスが組み込まれ、人の手を介さずにデバイス同士が状況を判断して、管理・取引できるようになる
  農業 ⇒ 家畜もネットワークに接続。データ蓄積が進み、農作業がすべて自動化
  環境モニタリングと災害予測 ⇒ 世界中の環境情報の収集が可能
  医療・ヘルスケア ⇒ 人々の健康状態もIOT化される
  金融・保険 ⇒ 暗号通貨によって価値の蓄積、移動が安全かつ高速にできる
  書類や記録の管理 ⇒ モノに関する書類はすべて電子化してブロックチェーンに登録可能
  ビル管理、不動産管理 ⇒ IOTにより店舗やオフィススペースの有効活用が可能
  製造、メンテナンス ⇒ スマートデバイスにより生産管理や在庫管理、品質管理、流通管理などあらゆる工程を効率化
  スマートホーム ⇒ 家の壁や家具もスマートデバイスとなる
  小売業 ⇒ 業務の効率化が促進

第7章     豊かさのパラドックス――資本主義とインクルージョン
あらゆる立場の人が対等に経済活動に参加し、自立して安定した生活を送れる状態のことを経済的インクルージョンというが、その実現のためには、基本的な金融サービスへのアクセスが不可欠。さらには、教育や医療の改善、女性の機会均等、経済発展へと進む
ブロックチェーンにより、インターネットにアクセスできる携帯さえあれば、非常に小さな金額の取引を最小のコストで実現出来る
資本主義が悪いのではなく、つぎはぎだらけの金融システムがネックとなって、そのメリットに触れることすらできない人が多過ぎるというのが問題

第8章     民主主義はまだ死んでいない――選挙、法律、政治
公共サービスにおけるIOTの活用 ⇒ 公共交通機関への利用や建物ほかの資産の管理、さらにはリアルタイムのマッチングを導入した効率化も可能
電気、水道などのインフラもIOT

第9章     僕らの音楽を取りもどせ――アート、音楽、ジャーナリズム
音楽業界の権利は一握りの大企業に牛耳られているが、スマートコントラクトを使えば、繁雑な管理はシンプルに自動化され、レーベルはミッションクリティカルな業務に集中できる

Part 3. ブロックチェインの光と闇 Promise and Peril
第10章 革命に立ちはだかる高い壁 ⇒ 直面する10の課題
  未成熟な技術  大量アクセスに対するキャパシティ不足(現状では10百万人の要求が限度)。一般ユーザーがすぐに使えるツールが整っていない。ビットコインの発行量は最大21百万と決められていて2140年には新規発行が停止する。ビットコインの取引が検証され確定するまで10分かかることもネック
  エネルギーの過剰な消費 ⇒ 取引の正しさを検証するためにハッシュ計算を大量に繰り返す必要があるので、電力消費量が膨大
  政府による規制や妨害 ⇒ 未知の世界
  既存の業界からの圧力 ⇒ インターネットに対する初期の懸念の多くが現実になったことを考えると、金や権力で支配しようと考える者が出てくる
  持続的なインセンティブの必要性 ⇒ 高度なセキュリティを実現するために重要なのがマイナーの規模と多様性で、それを確保するためには世界中の人々が参加したくなるようなインセンティブが不可欠
  ブロックチェーンが人間の雇用を奪う ⇒ 自動化によって雇用が奪われてきたのは今に始まったことではないが、ブロックチェーンは自動化を劇的に推し進めるが、同時に新しい雇用の機会も多くもたらす
  自由な分散型プロトコルをどう制御するか ⇒ インターネットの場合、ICANNなどの団体がニーズを予測し、開発の方向性を調整しているが、ビットコインのコミュニティにはそういう団体はないし、管理されることを好まない気風がある。すでにコミュニティ内で対立の芽がある
  自律エージェントが人類を征服する ⇒ アノニマスというネットワークでは匿名の参加者たちが悪質なサイバー攻撃や抗議活動を展開している
  監視社会の可能性 ⇒ ブロックチェーンは匿名性の高いネットワークだが、情報はオープンなので、悪用される恐れも高い
  犯罪や反社会的行為への利用 ⇒ 今後の課題

第11章 未来を創造するリーダーシップ
ブロックチェーンが真価を発揮するために必要なものとは
オープンソース・コミュニティは、開発者にとって最高の環境だが、より強力な国際的インフラへと成長するためには、ある程度の組織化とリーダーシップが不可欠


ブロックチェーン・レボリューション D・タプスコット、A・タプスコット著 
国の概念さえ変わる未来とは
2017/1/29 2:30 日本経済新聞 朝刊
 人工知能(AI)と並び注目すべき最新技術はブロックチェーンだ。ビットコインという仮想通貨の基本技術であるため、日本では、金融とIT(情報技術)が融合した「フィンテック」の話と捉える人もいるが、はるかに革命的な可能性を秘める。本書は、デジタル社会論の世界的権威らが、企業経営や経済社会、国家に及ぼす影響を幅広く論じたものだ。
 インターネットのおかげで、消費者と生産者が直接やり取りし、様々な経済取引から中間業者の介在が不要になった。今では生産者が提供するプラットフォームの下で消費者が新たな付加価値を生み出し、消費者と生産者が混然一体となるプロシューマーの時代が訪れつつある。
 ただ、経済取引に付随するお金のやり取りは、ネットバンキングを使う場合も、銀行がいまだに介在する。写真や書類を電子メールで直接送るように、お金をネットで相手に渡すのは無理で、送金を証明する銀行の仲介を要する。
 お金に限らず、銀行や国家の介在なしに所有権の移転をネット上で当事者間だけで可能にする技術がブロックチェーンだ。改ざん不可能な公開された台帳の上で、資産が取引される。匿名性を担保したまま、ネット上の分散されたデジタル情報を通じてやり取りできるから、何と国家も捕捉できない。
 今のところコストが大きいため、現実的とはいえないが、将来、銀行が不要になるどころか、政府や中央銀行の通貨発行権を揺るがすことになりかねない。インターネットが所有権移転の領域にまで関わることで、国家という概念そのものが変容する可能性を予感させる。
 現在、ウーバーやエアビーアンドビーがもてはやされるが、それらはユーザーと資産所有者に関する大量の情報を持った仲介者にすぎず、真のシェアリングエコノミーではないと本書は断じる。利用者と提供者が直接やり取りし、仲介者不要のブロックチェーン版のウーバーやエアビーアンドビーの誕生を予測する。また、フェイスブックやグーグルなど大量のユーザーを惹きつけるプラットフォームが今のところネット社会の勝者だが、ブロックチェーンが独占を崩す可能性があると指摘する。
 副作用は確かに大きい。しかし変化を恐れてあらがうより、新技術を徹底利用しメリットを享受しようとチャレンジする人に新たな未来が待っている。本書は最後に「さあ、まだ見ぬ世界へ踏みだそう」と呼びかける。
原題=BLOCKCHAIN REVOLUTION
(高橋璃子訳、ダイヤモンド社・2400円)
D・タプスコット氏は『ウィキノミクス』などの著者。A・タプスコット氏は米タイム誌などに寄稿。
《評》BNPパリバ証券チーフエコノミスト 河野 龍太郎


Wikipedia
ブロックチェーン(英語:blockchain)はブロックと呼ばれる順序付けられたレコードの連続的に増加するリストを持つ分散データベースである。各ブロックには、タイムスタンプと前のブロックへのリンクが含まれている。設計上、ブロックチェーンは本質的にデータの改ざんに抵抗する。一度記録すると、ブロック内のデータを遡及的に変更することはできない。ブロックチェーンデータベースはP2Pネットワークと分散型タイムスタンプサーバーの使用により自律的に管理される。ブロックチェーンは、「オープンな分散型の元帳」であり、2者間の取引を効率的かつ検証可能な方法で記録することができる[要出典]
元来、暗号通貨ビットコイン」の中核技術としてサトシ・ナカモト (Satoshi Nakamoto) によって2009年に提唱された技術だが、改ざん困難な記録の方式として通貨以外への応用もある[1]。ブロックチェインとも[2][3]
Peer to Peer(ピア・トゥ・ピア または ピア・ツー・ピア)とは、複数の端末間で通信を行う際のアーキテクチャのひとつで、対等の者(Peer、ピア)同士が通信をすることを特徴とする通信方式
ブロックチェーンは設計上安全であり、ビザンチン耐故障性の高い分散コンピューティングシステムの一例である[要出典]。したがって、分散した合意をブロックチェーンで達成することができる[要出典]。これにより、ブロックチェーンはイベント、医療記録、その他のレコード管理活動、アイデンティティ管理、トランザクション処理、およびデータの出所を証明するなどの用途に適している[要出典]
目次
ブロックチェーンは、「ブロック」と呼ばれるデータの単位を一定時間ごとに生成し、鎖(チェーン)のように連結していくことによりデータを保管するデータベースである[3]。あるブロックチェーンに参加する者のうち、プルーフ・オブ・ワーク英語版)と呼ばれる、計算に時間のかかる値を最初に計算した者が、次のブロックを生成することができる[1]Proof-of-stake など別の手法もある[1])。あるブロックの内容は直前のブロックのハッシュ値に依存するため、いったんチェーンに追加されたブロックを改竄することは(それ以降のブロックを全て破棄しない限り)できない[4]

説明[編集]
ブロックチェーンは安全なオンライントランザクションを容易にする。ブロックチェーンは、登録された取引を遡及的に変更することができないように、多くのコンピュータ間で取引を記録する分散型デジタル元帳である。これにより、参加者は安価な方法でトランザクションを検証し監査することができる。トランザクションは集合的な自己利益によって動かされる大規模なコラボレーションによって認証される。その結果、参加者のデータセキュリティに関する不確実性はほとんどない堅牢なワークフローとなる。ブロックチェーンを使用することにより、デジタル資産から無限の再現性という特性が取り除かれる。それは、価値の各単位が一度だけ移転されたことを確認し、長期にわたる二重支出Double Spending)の問題を解決する。ブロックチェーンは価値交換プロトコルとして記述されている。このブロックチェーンに基づく価値交換は、従来のシステムよりも迅速かつ安全に、より安価に完了することができる。ブロックチェーンは、オファーと受け入れOffer and acceptance)を強制するレコードを提供するため、タイトル権を割り当てることができる。技術的な観点からは、ブロックチェーンは別のハッシュチェーン内のハッシュチェーンである。
ブロックチェーンデータベースは、トランザクションとブロックの2種類のレコードで構成されている。ブロックは、ハッシュされ、Merkleツリーにエンコードされた有効なトランザクションのバッチを保持する。各ブロックは、ブロックチェーン内の先行ブロックのハッシュを含み、その2つをリンクする。この形式の異型は以前はGitなどで使用されていたが、それだけではブロックチェーンとしての資格を得るには十分ではない。連結されたブロックはチェーンを形成する。この反復プロセスは、前のブロックの完全性を、元の起点ブロックまですべて確認する。いくつかのブロックチェーンは、5秒ごとに新しいブロックを高頻度で作成する。ブロックチェーン時代においては、これを高さ(height)が増すと言っている。ブロックは複数の層に分割されて構成されている。
場合によっては、別々のブロックを同時に検証して、一時的なフォーク(分岐)が作成されることもある。セキュアなハッシュベースの履歴に加えて、ブロックチェーンには、異なるバージョンの履歴をスコア付けするための特定のアルゴリズムがあり、より高い値を持つものが他のものよりも選択されるようになっている。チェーンに含めるために選択されていないブロックは、孤児ブロックと呼ばれる。データベースを支えているピアは、常に同じバージョンの履歴を保持しているわけではなく、現在認知しているデータベースの最高スコアバージョンを保持している。ピアが高いスコアリングバージョン(通常は新しいブロックが1つ追加された古いバージョン)を受け取るたびに、ピアは自分のデータベースを拡張または上書きし、他のピアに改善を再送する。特定のエントリーがヒストリーの最高のバージョンに永遠に残るという絶対的な保証はない。しかし、ブロックチェーンは通常、古いブロックに新しいブロックのスコアを追加するために作成され、古いブロックを上書きするのではなく新しいブロックで拡張するインセンティブがあるため、より多くのブロックが構築されるとエントリが上書きされる確率は指数関数的に下がる。その結果、最終的には非常に低くなる。たとえば、Proof-of-work(作業証明)システムを使用しているブロックチェーンでは、最も累積的な作業実績を持つチェーンは、ネットワークによって常に有効なものと見なされる。実際には、十分なレベルの計算を示すことができる多くの方法が存在する。ブロックチェイン内では、従来の分離された並列方法ではなく、計算が(複数のコンピューターで)重複して実行される。
ブロックチェーンは、関連する情報を抽出するためにソフトウェアによって解析される。
応用[編集]
ブロックチェーンは、銀行などの信頼できる「第三者」がトランザクションを完了する必要性を排除することによってトランザクションの検証に必要なコストを削減する。 同技術はまた、ネットワーキングのコストを下げるので、いくつかの応用を可能にする[要出典]。ブロックチェーンの主な用途は、ビットコインなどの暗号通貨を作成することである。 カナダ、中国、イングランド、ヨーロッパ、スウェーデン、シンガポール、南アフリカなどの中央銀行が、ブロックチェーンに基づく暗号通貨の発行について研究している[5]が、それまではこれまでに実現していない[要出典]
オルタナティブブロックチェーン[編集]
Altchainsとも呼ばれるオルタナティブブロックチェーンは、ビットコイン技術に基づいた概念やコードを利用している。 この用語は、ビットコインのメインチェーンを除くすべてのブロックチェーンを包含する。 ビットコインと比較して、これらのデザインは一般にブロックチェーン設計に機能を追加する。 Altchainsは他のデジタル通貨を含むソリューションを提供できるが、これらの設計で使用されるトークンは常にそうであるとは限らない。 Altchainsはパフォーマンス、匿名性、ストレージ、スマートコントラクトなどのアプリケーションをターゲットにしている。 金融アプリケーションに重点を置くことから始めて、ブロックチェーン技術は仲介者を排除する分散アプリケーションや共同組織などの活動にまで拡大されている。
R3[編集]
詳細は「R3 (企業)」を参照
R3 2014年ごろに設立された分散台帳技術のコンソーシアム・開発企業である[6][7]Corda と呼ばれるプラットフォームを構築している[8]。そのコードベースのCordaはブロックチェーンではないが、ブロックチェーン技術にインスパイアされた分散台帳技術としている。Cordaは後述のハイパーレッジャー・プロジェクトへ申請されており、受理されればハイパーレッジャーの一プロジェクトとなる。
ハイパーレジャー[編集]
詳細は「Hyperledger」を参照
Linux Foundationによるブロックチェーンを共同開発するプロジェクト。金融機関以外にも様々な業界の多数の大企業が参加している。主に3つのインキュベーションプロジェクトを開発している。
懸念[編集]
ブロックチェーンは安全性が理論上保証されているが、分散システムであるためソフトウェアのバグ等により不具合が生じた場合に責任をとって対処する中央の管理者が存在しないことが懸念点として挙げられる[9]
スマートコントラクト英語版)へブロックチェーンを応用する場合は、スマートコントラクトの実装の自由度を高めるほど安全性を保証しにくくなる[10]
香港金融管理局はブロックチェーン技術は匿名性を利用して違法な取引や資金洗浄に援用されるリスクがあると201611月に報告した[11]
経済への影響[編集]
カナダ、中国、イングランド、ヨーロッパ、スウェーデン、シンガポール、南アフリカなどの中央銀行が、ブロックチェーンに基づく暗号通貨の発行について研究している[12]
2016年の日本の経済産業省の推定によれば、ブロックチェーンの市場規模は67兆円に及ぶとされる[13][14]
日本株式市場への影響[編集]
201512月から20161月にかけて、インフォテリア株式会社の報道発表(2015124日)[15]を皮切りに、さくらインターネット株式会社(同1216日)[16]株式会社アイリッジ(同1217日)[17]株式会社ロックオン(同1228日)[18]株式会社オウケイウェイブ201616日)[19]など、ブロックチェーンに関する業務提携を報道発表した上場企業の株式が軒並みストップ高を記録する現象が発生した。さくらインターネット株式会社の株式にいたっては1ヶ月間で5.5倍も上昇した[20]
通貨以外への応用[編集]
ブロックチェーンの用途として検討されているものとして、ビットコインなどの暗号通貨の他[21]に、スマートコントラクト英語版)との組み合わせによる取引の自動化[22]、財やサービスの取引や権利の記録への適用などがある[21]。仮想通貨以外の応用はブロックチェーン2.0と呼ばれる[1][23]
フィンテックをふくむ多様な情報技術にブロックチェーンは利用される。新興諸国を対象に電子政府を超越したビットネイション構想が提出されており[24]、現に南アフリカ共和国ではスマートメーターにブロックチェーンが適用されている。マン島201688モノのインターネットに対する応用を試験すると公表している[25]
2016929日、ユーロクリアPaxos がロンドン貴金属市場協会でブロックチェーンを稼動させるために提携関係となったことが分かった[26]。ロンドン貴金属市場協会は、2010年に金取引データが非公開になったり(HSBC#沿革)、協会内部のシルバー・フィックスで価格操作が行われた疑いによる訴訟が提起されたり(ドイツ銀行#概説)した。ユーロクリアはゴールド・フィックスとシルバー・フィックスの両方に参加するJPモルガンと同じモルガングループであり、また顧客に匿名口座を開設している。
啓蒙活動[編集]
日本で2016425日に、34社が参画してブロックチェーン推進協会(BCCC)が発足[27](同年629日には会員企業数61[28]20168月に加盟企業数80[29])し、同年427日に28社が参画して日本ブロックチェーン協会(JBA)が発足した[30]20171月の時点で会員企業数76[31])。
日本ブロックチェーン協会は201610月、「ブロックチェーンの定義」として、プルーフ・オブ・ワークの特徴など[32]、ビットコインにおけるブロックチェーンを意識した「狭義の定義」と、前者を踏襲し、ブロックチェーンのコンポーネント技術に言及した「広義の定義」の2項目を提唱した[33][34][35][37]JBAは、この定義に関する議論、および公開に至った背景として、「ブロックチェーン」という語の濫用・誤用を挙げている[33][35]




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