現代に生きるマリア・モンテッソーリの教育思想と実践  野原由利子ほか  2016.9.3.


2016.9.3. 現代に生きるマリア・モンテッソーリの教育思想と実践

                   ~空想的想像力から科学的想像力へ~



共著

早田由美子    お茶の水大大学院卒 博士(学術) 千里金蘭大教授

森下京子       金城学院大卒 学士(文学) モンテッソーリ瑞穂子どもの家主宰

野原由利子    東大大学院卒 修士(教育学) 名古屋芸大名誉教授

島田美城       長崎純心大大学院卒 修士(学術・福祉) エリザベト音楽大准教授

藤尾かの子    エリザベト音楽大大学院卒 修士(音楽)  エリザベト音楽大助教

奥山清子       College of Nortre Dame, California、元ノートルダム清心女子大教授

村田尚子       野並福祉会野並保育園副主任

木下めぐみ    幸町子どもの家

相良敦子       九大大学院卒 修士(教育学) 元滋賀大教授、前長崎純心大大学院教授

阿部真美子    東京教育大大学院卒 修士(教育学) 聖徳大児童学部・大学院研究科教授

仙石茉莉奈    名古屋芸大大学院卒 修士(教育学) 名古屋カトリック学園幼稚園



発行日           2016.8.6. 初版第1刷発行

発行所           KTC中央出版



1907年にモンテッソーリがローマの貧民街で「子どもの家」を開設以来110年、モンテッソーリ教育は今も様々な国や階層の子ども達の生きようとする力を手助けしている

様々な分野で時代の動きに鑑みながら新たな精神と行動を模索し創出し、それを教育の世界に結実させた

本書は、そのモンテッソーリ教育の真髄を、研究成果や実証的に検証した結果を土台にして、多角的に明らかにしようとした

モンテッソーリ教育の歴史的推移、経験主義との違い、宇宙、地球、生命の歴史の中の人類の位置を知り、命を尊び合うことを学ぶコスミック教育の紹介、音楽や描画などの表現活動における有意性、障碍児教育での有効性、脳科学の進歩による効果の裏付けなど、多様な観点から特徴と意義を浮き彫りにしている



第1章        改革者としてのモンテッソーリと近年における世界のモンテッソーリ教育

第2章        モンテッソーリ教育の内容、方法の概容と今日の実践が引き継ぐもの

第3章        モンテッソーリ教育の普及と逆境、そして発展―――野原

知能や感覚を測定することでのみ判断する測定主義の心理学の立場はとらず、教具を自己教育の手段として有効に活用し、精神的に活動し発達する子どもを対象とする、教育の真の基礎学としての実験心理学の立場をとる

注意の集中が起こった児童は全く変わり、以前より落ち着き、知的になり、心を開き始める

遊戯とおとぎ話は、子どもが作業し、環境を模倣し、環境に適応できるように導く大切な原動力と考えられる。子どもは聞いたことを頭の中で再構成し、その世界に生きている

モンテッソーリの遺業は、抽象を具体化した教具を手掛かりに知性を拓く教育内容・方法を模索し、数々の有用な教具を考案

幼児を象徴的思考段階に長く留めすぎることを懸念し、科学の世界の扉を開けるための具体的方途を模索。3歳からは世界へ、6歳からは宇宙への扉を開けてあげたいとした

人間の発達のために必要な測り知れない「創造的エネルギー」の扉を開けるカギを発見

モンテッソーリが残した境域思想、内容、方法の遺産に学び、モンテッソーリが生涯かけて希求した、子どもと大人の人権の開花、それを保証するために最も不可欠な平和な社会の実現についても、科学的な探求と行動の努力を進めなければならない



第4章        モンテッソーリ教育における自己表現活動の理論と実践

第5章        モンテッソーリ障碍児教育の理論と実践

第6章        モンテッソーリ教育リバイバルから半世紀を経て見えてきたこと

第7章        モンテッソーリ教育の遺産と課題





Wikipedia

モンテッソーリ教育Montessori education または the Montessori method)は、20世紀初頭にマリア・モンテッソーリによって考案された教育法。

イタリアローマ医師として精神病院で働いていたモンテッソーリは知的障害児へ感覚教育法を施し知的水準を上げるという効果を見せ、1907に設立した貧困層の健常児を対象とした保育施設「子どもの家」において、その独特な教育法を完成させた。以後、モンテッソーリ教育を実施する施設は「子どもの家」と呼ばれるようになる。

目次

モンテッソーリ教育法[編集]

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モンテッソーリの木製教具

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オランダの教室 1915

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アメリカの教室 2007

子供の家[編集]

1907、ローマに最初に誕生した「子供の家(Casa dei bambini)」は、瞬く間に欧米を中心に世界各国に広がった。特にアメリカ合衆国では2度にわたってモンテッソーリ・ブームが起こり、アメリカ全土にその教育法が普及した。現在、アメリカの私立をはじめ数百の公立学校でもプログラムが導入され、3000ヶ所のモンテッソーリ・子供の家があるといわれる。日本には1960年代に紹介され、モンテッソーリ・プログラムを導入する幼稚園やモンテッソーリ教育を専門に行う「子供の家」が創設された。

感覚教育[編集]

モンテッソーリ「子供の家」の教室に入ると、整然と並ぶ色とりどりの「教具」と呼ばれる木製玩具が目に飛び込んでくる。これらはモンテッソーリの感覚教育法に基づく教材で、モンテッソーリとその助手たちが開発した。モンテッソーリ教育法では教具の形、大きさは無論、手触り、重さ、材質にまでこだわり、子供たちの繊細な五感をやわらかく刺激するよう配慮がなされている。また、教具を通し、暗記でなく経験に基づいて質量や数量の感覚を養うことと、同時に教具を通して感じ取れる形容詞などの言語教育も組み込まれている。

教具[編集]

  • ピンク・タワー(pink tower):1cm3 - 100cm3 までの立方体
  • 円柱(cylinder blocks
  • 茶色の階段(broad stair, Brown Stair
  • 長さの棒(red rods
  • 色付き円柱
  • 色板(Color tablets
  • 幾何たんす(Geometric cabinet
  • 幾何学立体(Geometric solids
  • 二項式(binomial cube
  • 三項式(trinomial cube
  • 構成三角形(constructive triangles
  • 実体認識袋(The mystery bag
  • 触覚板(Rough and smooth boards
  • 温覚筒(Thermic bottles
  • 重量板(Baric tablets
  • 圧覚板
  • 雑音筒(Sound cylinders
  • 音感ベル(Bells
  • 味覚びん
  • 嗅覚筒
  • 数の棒 (Spindle box)

自発性と「敏感期」[編集]

常に子供を観察し、そこから学ぶ姿勢を貫いたモンテッソーリは、感覚教育と同様に重要と説いたのは、子供の中の自発性を重んじることである。どの子供にもある知的好奇心は、何よりその自発性が尊重されるべきで、周囲の大人はこの知的好奇心が自発的に現われるよう、子供に「自由な環境」を提供することを重要視した。また、子供を観察するうち月齢、年齢ごとに子供たちの興味の対象がつぎつぎ移り変わる点に着目し、脳生理学に基づき、さまざまな能力の獲得には、それぞれ最適な時期があると結論付け、これを「敏感期」と名づけた。モンテッソーリ教育の特徴の一面とされる一斉教育を行わない教育形態は、この子供たちの「自由」の保証と「敏感期」を育むモンテッソーリ理論の視点に立つものである。 モンテッソーリは、集中して遊んでいた子どもが玩具に夢中になり、目を輝かせていた幼児を見て、挫折しかけた研究の道を再度探求することとなった。敏感期の子どもに触発され、モンテッソーリ教育が構築されていったのである。

「整えられた環境」と教員養成[編集]

モンテッソーリ教育では、子供たちが安心して自由に遊び、作業のできる環境整備が重視される。教室が清潔に保たれ、子供の目線で教室を見渡せることにも配慮が求められる。また、モンテッソーリ教育法における教師の存在は、教室や教具と同様、整えられた環境の担い手の一つと考えられている。彼らには、教具などを扱う技術や管理する能力も要求されるが、何より子供を注意深く観察する態度が要求され、各々の子供たちの欲求に沿ってその教育を提供する注意深さが求められる。また、子供たちの集中時、それを妨げない心遣いや、子供の自発性を待つ姿勢も養成コースにおける重要な要素となる。晩年のモンテッソーリが力を注いだ教員養成方法は現在も世界各国で実践され、この厳しい教員養成もモンテッソーリ教育の特徴のひとつにあげられる。

日本におけるモンテッソーリ教育[編集]

子どもの自主性、独立心、知的好奇心などを育み、社会に貢献する人物となること(モンテッソーリ教育の終了は24歳)を目的とするモンテッソーリ教育は、欧米ではオルタナティブ教育として評価されている。一方、日本においては潜在能力を引き出す、知的能力をあげる、小学校のお受験対策といった英才教育や早期教育として注目され、幼児教育だと誤解されることが多く、マリア・モンテッソーリが、知的・発達障害の治療教育、貧困家庭の子供たちへの教育から、発展させてきた教育法であることはあまり知られていない。

教員資格[編集]

日本で取得できるモンテッソーリ教員の資格には、マリア・モンテッソーリが創立した国際モンテッソーリ協会(AMI[1])が認定する国際免状と、日本モンテッソーリ協会などの団体が認定する日本独自の免状の二種類がある。教員養成の場としては、AMIから国際トレーニングセンターとして認可された東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンター1975に開所、またAMIから友好関係団体として承認された日本モンテッソーリ協会1968に発足し教員養成コースを開設・公認している他、いくつかの団体が養成コースを開講している。

国際免状

国際モンテッソーリ協会(AMI)で定められている免状(ディプロマ)の種類には Assistants to Infancy03才)、Casa dei Bambini36才)、Elementary6才~12才)があり、それぞれ教える事の出来る年齢が異なる。3才~6才のディプロマは、東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンター1975東京都新宿区四谷に開所、1976年より神奈川県相模原市)で、1年制(夜間2年制)の課程を履修し卒業試験に合格した者に授与される[2]。モンテッソーリ教育の創設者である故マリア・モンテッソーリにより認定された教師資格はこのAMI認定による国際免状のみであり、有資格者は海外においてもモンテッソーリ教師として認められ、働くことができる。現在国際免許取得のコースを毎年通年で開講しているのは東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンター[3]のみである。

日本独自の免状

日本モンテッソーリ協会認定の教員資格免状は、1970から2007まで上智大学に付設していた「上智モンテッソーリ教員養成コース」[4]を引き継いだ東京モンテッソーリ教育研究所(東京都文京区)で、2年制(夜間)の付属教員養成コース[5]を履修し総合試験に合格した者に授与される。東京のほかに京都市伏見区広島県安芸郡福岡県宗像市長崎県長崎市などの公認施設でも受講できる[6]

その他

公益財団法人才能開発教育研究財団内の組織である日本モンテッソーリ教育綜合研究所・教師養成センターは、1976年から独自の通信教育を展開し、約3,000名の卒業生に「3歳~6歳コース」と「0歳~3歳コース」において教師としての基本的な知識と技能を伝えている。講座修了者のうち希望する者には資格試験を行い、合格者に研究所認定の資格証を発行している。

うめだ・あけぼの治療教育職員養成所(東京都足立区)で養成コースが開講されていたが、2007年に閉校した。

マリア・モンテッソーリ教育研究会(横浜市)では20083年制のモンテッソーリ小学校教員養成コースを開講した[7]

モンテッソーリ・スクール[編集]

モンテッソーリ教育法は主に乳児、幼児、園児あるいは児童を対象にしているが、欧米にはモンテッソーリの小学校は数多くあり、中学校高等学校も存在する[8]

日本においてはモンテッソーリ保育園や幼稚園は、カトリック系を中心に数多くあるが(カトリック系であっても雙葉学園では実践されていない)、学校法で規定され日本政府に認可されているモンテッソーリ小学校(公立・私立)はなく、一部私塾として放課後に小学生のためのクラスが開催されているのみである。 国際モンテッソーリ協会(AMI)認定の東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンター直属の付属園(幼稚園スタイルと放課後小学生クラスを開講)としては東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンター付属「聖アンナこどもの家」、同付属「聖イリナモンテッソーリスクール」と「マリア・モンテッソーリ子どもの家」の3園がある。

モンテッソーリ教育を受けた著名人[編集]





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