ツイッター創業物語  Nick Bilton  2014.8.30.

2014.8.30. ツイッター創業物語 金と権力、友情、そして裏切り
Hatching Twitter: A True Story of Money, Power, Friendship and Betrayal 2013

著者 Nick Bilton 『ニューヨーク・タイムズ』記者、コラムニスト。同紙のBits Blogを主管。テクノロジーがビジネスや文化にもたらす破壊的な影響、テクノロジーやプライヴァシーの未来、ウェブの社会的影響などについてブログを執筆。サンフランシスコ在

訳者 伏見威蕃(いわん) 1951年生まれ。早大商卒。翻訳家。

発行日           2014.4.23. 11
発行所           日本経済新聞社

ツイッターは誰のものか?
ベンチャー企業オデオは、ポッドキャスティングで一発当てようとしていた。だが創業から2年、当初の目論見が外れたことは明白だった。目前には会社の破綻が迫っていた。次々に社員をクビにしていた。そんな時、会社に残った人間で考え出したアイディア――それがツイッターだった。
友人同士だったITオタクが作り出したビジネスは、やがて外部の投資家を巻き込んだカネと権力、そして名誉争いに発展していく。はたして「ツイッターの発明者」という称賛に値するのは誰なのか?
思いがけない創業、友達の裏切り、そして世界の3億人のユーザーを獲得するまでの軌跡を、4人の共同創業者を軸に描き出した全米ベストセラー
ツイッターを生み出した4
@Evエバン・エブ・ウィリアムズ――ブロガーの創業者。物静かだがビジネスマンとして非常に有能で、会社の利益を守るためなら友達や共同創業者も追放する
@Jackジャック・ドーシー――元々は無名のITオタク。後にツイッターのコンセプトを生み出し、さらにスクエアを創業。「ジョブズの再来」という評判を得る。いまや業界の巨人
@Bizクリストファー・ビズ・スト-ン――ジョーク好きで社交好き。いまでも仲間たちと友人関係を保ち、宿怨を抱えていない唯一の人物
@Noahノア・グラス――シャイだがエネルギーに満ちたITオタク。共同創業者として人生すべてをツイッターに捧げた。だが後に追放されて、社史からも消された。すべての肩書を奪われた


著者おぼえがき
ツイッター社は、会社としては本書のための公式取材を拒否したが、現職とかつての取締役たちと、創業者4人はインタビューに共同で応じてくれた
人の記憶は、時とともに曖昧となるが、お互いにやりとりした画像、動画、ツイートは、完全な形で残り、お互いの不完全な記憶を補完してくれ、この歴史を構成する本当の出来事が、損なわれることなく伝えられた


1997年 エブが前年始めた会社を潰した後、無一文でネブラスカの実家の農場から飛び出し、サンフランシスコのメディア会社に就職。コード書きを覚えてパロアルトのインテルやHPに勤めて平凡なソフトウェアを書き、IT産業で友人を作る
間もなくサンフランシスコの魅力に引き寄せられるように市内に移り、女性と2人でソフトウェアの会社を起業、社内用の日誌サイトを始め、それをブロガーと名付けて公開、ITオタクの間で人気が出る ⇒ シスコで次々にブログが生まれ、ブログを通じてデジタルな友情が芽生える
2002年ごろ、世界中に1百万のブログがあり、書き込みは90百万件に近づき、広告やサイトを利用している人々からの寄附で何とか食いつなぐ
「大衆のためのプッシュボタン・パブリッシング」が標語で、好き勝手になんでもありのスタイル
シリコンバレーの外では、誰もこの奇妙なブログに見込みがあるとは思っていなかったが、パソコンから勝手に情報を発信して、出版業界に一泡吹かせようとしていた
たまたま向かいに住んでいた@Noahノア・グラスが、『フォーブス』を見ていて、エブの後ろに自分の家のキッチンが写っているのに気付いて、エブに声をかけたのが、初めての出会い
ノアはカリフォルニア州サンタクルスの生まれ
グーグルから声がかかり、オーディブログというアプリケーションを書いたエブはグーグルの株式を手に入れ、グーグル社内でも一躍有名になる
組織に馴染めないエブはすぐに株式全部を売却して数千万ドルを手に入れた後2004年にグーグルを辞めたが、ノアはそのまま働き続け、オデオというウェブのポッドキャスティング・サイト事業を独立させようとしてエブの出資を頼む ⇒ エブがCEOになる条件で投資
セントルイスで言語障害を持った@Jackジャック・ドーシーが、ノートパソコン片手にシスコにやってきてオデオの社員に応募
@Bizクリストファー・ビズ・スト-ンは、ボストンのウェルズリーでシングルマザーに育てられたが、2003年にエブに採用され、2年グーグルに勤めたがエブを追って退職
オデオのポッドキャスティングは、ユーザーが音声ファイルを作ってウェブ上で他のユーザーと共有するもので、ブログが出版界と競争したように、ラジオに対する競争力があるとみられた
2005年 エブとノアの会社の主導権争いが激化する一方、アップルがiTunesにポッドキャスティングを追加すると発表したため、オデオはアドオンとなり、会社をたたむことまで考えざるを得なくなる
その頃ジャックは、ブロガーと競合するライブジャーナルというブログ・サービスを使い、いま何をやっているかを手短にステータス(現況)メッセ-ジとしてブログに書き込んでいた。パソコンにステータスを表示するというアイディアは、97年にAOLがインスタントメッセンジャーというサービスを始めたときに脚光を浴びた。パソコンから離れて画面が見られないことを相手に伝えるために、アウェー・メッセージという機能を開発、短いテキストメッセージで、手が空いているか、会議中なのか、ただ忙しいだけなのかをメモに残すことができる。オンラインの友人たちは、それによってこちらの居場所を知ることができる
若者は、このアウェー機能を別な使い道で活用、その時の気分や、聴いている音楽のことを書いて、お互いの現在の状況を共有していた
2006年 ノアとジャックは、若者の使うアウェー機能(ステータス)をオデオに統合させることを思いつき、新たなサービスとして公開することになり、名前は字書をめくりながらツィッターに辿り着く
20063月 初めてのツイートがジャックから発信される
ツイッターの主導権を巡ってエブとノアが対決、共同開発していたジャックはもとより社員からもそっぽを向かれたノアが、ツイッターの正式お披露目の直後に退社
エブも、グーグル株を売却した資金でオデオの投資家から買い戻し、新たなスタートアップに没頭
20068月 小さな地震が発生した際、ツイッターを使ったのは僅か数百人だったが、なぜか不思議な経験に思えた。エブは地震のツイートを手掛かりに、ステータスだけでなくニュースを共有する役割がツイッターにあると考え、ジャックがツイッターを自分のことを話す道具だとみていたのに対し、エブは世界で起きていることを覗き見るファインダーだと考えるようになっていた
20073月 サウス・バイ・サウスウェスト(Itカンファレンス)で、ブログ部門のベスト・ニュースタートアップ賞(オタクのアカデミー賞のようなもの)を獲得、一気にサインアップする人が増えた
まだビジネスモデルの話すら出ていないが、会社はエブがノアや他の投資家の持分をすべて買い戻していた
07.6. ヤフーから買収のオファー ⇒ インターネットのステータス・ブロードキャスティングのシステムになるという期待から、エブ達は最低1億を考えていたが、ただのメッセージング・サービスとしてしか見ていなかったヤフーのオファーは僅か12百万ドルで破談に
直後に、ユニオンスクエア・ベンチャーズから5百万の投資
サインアップする人の急増で、サーバーのダウンが頻発する状態だったが、熱心なITオタクが書けている機能を補おうと考えた ⇒ その1つが@#の記号で、エンジニアがサーバ上で他の人々と話すときに自分の名前の頭につけて使われていたが、徐々にツイッターの固有の記号になった(最初に使ったのは06年アップルのデザイナーのアンダーセン)
続いてハッシュタグが登場 ⇒ キーワードの前に#をつけてそのワードのついた情報だけを集める。画像共有サイトのフリッカーで画像をグルーピングするのに使われていた機能。創業者はそのアイディアを相手にしなかったが、創業者の支配できない部分をサイトが支配してしまうといういい例になり、人々はハッシュタグを使い続けて、あらゆるものを分類整理した
ツイッターは、セレブ達が加わることによって一気に裾野を拡大、ジャックはスター並みに
会社をビジネスとして確立しようとするエブと、経営には無頓着で一時の成功に浮かれるジャックとの間に、ツイッターをどう使うかという当初からあった根本的な問題についての考え方の違いも加わって亀裂が増す ⇒ 2人とも気づいていなかったが、140文字の単純なステータス・アップデートでは自己中心的だから長くは生き延びられないという批判と、140文字のニュース・アップデートは瞬間的でニュース速報としては中身が貧弱だという懸念の2つがうまく組み合わさっていたからこそ、ツイッターは一味違っていたのだ
08.5. 依然として売上ゼロのまま次の資金調達を企図すると、市場が熱狂して企業価値の予想が80百万ドルにまで跳ね上がるが、会社の中は滅茶苦茶 ⇒ ジャックがエブに対抗すべく自ら経営に乗り出そうとして、ブレインを次々解雇したためよけいに混乱
08.6. スパーク・キャピタル他が18百万ドル出資 ⇒ 外部投資家が取締役として乗り込み、会社の混乱した内部事情を知り、ジャックに代わってエブをCEOにしようとしたが、その構想を他の取締役に相談しようとして書いたメールを、誤ってツイッター全社員に送ってしまった
07.11. テレビドラマで殺人の被害者の居所を突き止めるのにツイートが使われたのを機に、フィクションが現実となって、FBIなどの法執行機関がツイッターに対し、サービスを利用している特定の人間の情報を要求したが、権力に屈することなくツイッター・ユーザーの身元を守り通す
08年の大統領選で、オバマがツイッターを使って旧来の政治や草の根運動を粉砕し当選しようとしていた
ツイッターは、会社の意図とは無関係に、ユーザーの情報発信機能として広く使われ、パーソナル通信社になる方向へと進む ⇒ 報道機関よりも早くニュースを伝え、ツイッター利用者が増えるほどその速度は速くなったが、サイトのダウンは相変わらず頻発していた
08.10. CEOがジャックからエブに交代、ジャックは形だけの会長をオファーされたが、Facebookのザッカーバーグと接触したが、ポジションの問題で折り合わず、転職は破談
ザッカーバーグは、その前からツイッター買収を検討し、ジャックに接触していたが、この買収も破談
ジャックは、ステータスを人々が共有するというアイディアを出し、オデオを救おうとしたノアの決意によってジャックの発想が実行に移され、孤独を味わっている人々を結びつけ、覚えやすいような名前を探す努力があって、さらにツイッターを何が起きているかを伝えるものにするというエブの拘りと、エブの資金援と、シリコンバレーでの名声が全部合わさったからこそ、ツイッターがこれだけ早く成長し、それにサービス利用者の情報を守るためにビズが倫理的な立場を維持しなかったら、ツイッターは全く異なる会社になっていたはず
だが、ジャックはマスコミにツイッターがジャック独自の開発した事業であるかのように全く違う創業物語を神話に仕立てようとした
09.1. ツイッターが3度目の増資 ⇒ ベンチマーク・キャピタルのフェントンが個人で21百万ドル投資(企業価値250百万ドルの前提)、筆頭投資家として社外取締役に就任、ジャックの不満に共感して、ジャックを元の地位に戻そうとする
ジャックは、無言の会長のまま、モバイル決済会社「スクエア」という新しい事業を立ち上げ
09.1. クランチーズでのIT企業の年次コンペで、エブ、ビズ、ジャックの3人が「ベスト・スタートアップ創業者」賞を獲得
アル・ゴアはじめ、多くのセレブがツイッターの株を狙って、いろいろな共同事業の話を持ち込むが、エブはツイッターをあくまで独立の会社として維持
視聴者が2642百万人という「オプラ・ウィンフリー・ショー」(アメリカで最も裕福なアフリカ系アメリカ人によるトーク番組)がツイッターを特集で採りあげる
戦時下のイラクに派遣された米軍に、崩壊した国の復興にテクノロジーと携帯電話が役立てる可能性を探るため、IT企業団が招かれ、ツイッターからはジャックが参加
09年 『タイム』の世界で最も影響力のある100人に、しかも唯一の起業家としてその順位の2番目に選ばれ、大統領夫人から起業家精神を讃えられたが、エブとビズだけでジャックは除外
ジャックは、対外的に、自分ひとりでツイッターを開発したかのように喧伝していたが、ツイッターはジャックが構想している自分の物語を伝える目的から、エブが主張していたように他人の物語を伝える目的に進化し続けていた ⇒ 重要なのは、現実の人生で自分たちが見ていることを、人々がツイッターで報告するようになったことで、記者証やジャーナリストという肩書が、スマートホンとツイッターにとって代わられた
09.6. 突如イラン発のアクティヴィティが急増、イラン大統領選で勝ったアハマディネジャドが選挙を操作したという非難が反対派の複数の候補からFacebookとツイッターを使って広がる。大統領は、種々の通信手段を遮断したが、予備のウェブサイトを使って非難は全世界に急拡大、イラン絡みのハッシュタグ多数がツイッターのトピックスの上位を占める。イラン国内の激しい抗議行動を報道しなかったCNNに対しても、”#CNNFail”というハッシュタグがトピックスで急上昇、ツイッターのようなソーシャルメディア・サイトの勃興によってCNNはますますどうでもいいような存在になっていた
ツイッターが、地球の隅々まで見張れる全展望監視装置と化していた
大規模な抗議行動が予定されている時間に、たまたま重要なネットワーク・アップグレードのためのメンテナンスでシステムがストップすることを知った米国務省がツイッターにメンテナンス実施の延期を申し入れ、ツイッターはどちらの側の味方にもならないために受け入れたが、それが米国がイランの選挙に介入したと報道される ⇒ クリントン国務長官は、これこそ自分たちがやるべきこととして圧力をかわす
10.6. Facebookからツイッターに移籍した社員が、ファインド&フォローという新ツールを開発、Facebookの友人をツイッターで見つけてフォローできる機能だったが、発表の翌日Facebookによって締め出される ⇒ 両者の直接会談がもたれたが、両者の行き方は全く異なっており、エブにとっては買収されれば手にできる数十億ドルより、ツイッターの高潔さを守り、それを使う人々に意見を言う声を与えることを重視したため、お互い協力を約束しただけで終わる
ツイッターは、一般大衆のための送話口でなければならないというのが揺るぎない企業倫理で、それがあったからこそツイッターはシリコンバレーで他社とは一線を画する会社となり、後にウォール街を占拠せよという抗議行動のツイートを提出するようにという裁判所命令と争い、オンラインのウィキリークス支持者に対する司法省の魔女狩りに対抗して立ち上がる。そしてFacebookとは全く違い、新ユーザーにサービス内での追跡を拒否できる機能を与えた
140文字で、人々がプッシュボタン・パブリッシングできる
一方でFacebookは、自由な議論と追跡について全く異なる手法を用いる。ユーザーのプライバシーが侵害される場合も多く、サービスの厳格な条件に違反しているコンテンツは削除されるし、本名と生年月日をサイトで使うよう求めている
09年 4度目の増資は1億ドル。企業価値は10億ドルとなったが、売り上げはゼロ
09.9. エブは、グーグルで知り合った友人ディック・コストロをCOOとして採用 ⇒ コメディに嵌っていたが、07RSSフィード管理をする会社をグーグルに1億ドルで売却していた
ジャックは、マスコミの取材を受け続け、ますます自分だけがツイッターの創業者だという神話を流布させていたが、自らの新会社スクエアを発展させるのに、自分のツイッターのメールアドレスを使っていたため、アドレスを閉鎖される
09.12. 初の売り上げ記録 ⇒ グーグルとビングに対し、ツイートの内容を検索できるよう開放した見返りにグーグルは15百万、ビングを開発したマイクロソフトは10百万ドル支払い
ジャックは、スティーブ・ジョブズを崇拝、その所作を模倣していたが、エブの決断の遅さに不満を抱く一部幹部職員がジャックの下に集まり始める
10.9. デザインを一新し改善 ⇒ 外部では#NewTwitterと呼ばれ、メディア情報の断片をツイートに直に埋め込める機能を持つ
10.10. ジャックの陰謀が取締役会を動かし、エブをCEOから降ろし、ディックを暫定の後任、ジャックが経営執行役会長となった ⇒ 2年前のジャック解任劇と全く逆のことが起こる
2010.10.4. CEOの交代を公表、エブはプロダクトに専念することになるが、間もなく退社
11.3. ジャックが会社に経営執行役会長として復帰
11.6. ビズも辞任 ⇒ ジャックがオバマ大統領とツイッター対話集会を企画、アメリカ国民数百万人向けにウェブとツイッターでライブストリーミングされ、ジャックが司会者を務めることとなりる。ツイッターが、中立的なテクノロジーだという事実を強調するために、討論会の議長や司会者にはならないという原則がにじられる
ジャックの24時間マスコミ巡りは、ジャックをツイッターのCEOだと周囲に思わせ、ディックとの関係にも悪影響を与え始めるとともに、社員の中にもジャックのやり方に不満が募る
ノアは、初めての女の子を授かり、ツイッターを始めた時自分が探り当てたのはテクノロジーで人々と結びつくことができるという希望だったが、探し求めていたほんとうの結びつきは家族との繋がりだったことを知る
エブは、20億ドル以上の資産家となったが、大半を信託基金とし、子供たちが大人になった時その金を慈善事業などに分け与える責任を負わせることとした。息子が自分に似て他人とうまく交われないことを治そうとしたが果たせなかったが、テクノロジーでも変えられないことを知っていたので、iPhoneiPad、テレビを固く禁じられた。人間と人間の交流の方がいい、手にとれる本を読む方がいいと教えた




ツイッター創業物語 ニック・ビルトン著 情報インフラ発展の陰の人間模様 
日本経済新聞朝刊2014年6月29
フォームの終わり
 ツイッターの創業者同士の暗闘を巡るこのストーリーには、4人の若者が登場する。エブ(創業者の一人で後に冷酷に仲間を追放する)、ジャック(ツイッターのコンセプトを「発明」し、ノアを追放するが、後に自身も追放される)とビズ(唯一無傷で生き残る創業者)、ノア(創業者仲間でありながら、早くに追放され名前も消される)。
(伏見威蕃訳、日本経済新聞出版社・1800円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)
(伏見威蕃訳、日本経済新聞出版社・1800円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)
 ツイッターのオリジナルなアイデアは2000年ごろに考えられ、創業は06年。その後、世界の情報インフラとしての発展について説明は不要だろう。著者は丹念に関係者にインタビューし、創業時から現在に至るまで創業者たちの人間模様を詳細に描き出している。
 この物語では、エキサイティングなことがさほど起きるわけではない。名前を残したい、金を稼ぎたい、権力が欲しい、会社を発展させたい……。人間の欲望同士がぶつかり合う模様は物語としてはあまりに凡庸だろう。それも当然だ。当事者たちは私たちに良質な小説を読ませようとして活動していたわけではないからだ。この物語から私たちは何を読み取れば良いのか。
 ひとつのポイントは創業者同士の争いのもとが、ツイッターのコンセプトを巡ってだったことだ。後に追放されるジャックは「いまなにしてる?」というユーザー個人の状態(ステータス)の発信がツイッターだと主張。ジャックの後に最高経営責任者(CEO)になったエブは「いまどうしてる?」、つまりニュースの共有化がツイッターだと考えていた。この話は創業者同士の哲学や価値観の統一こそが重要だと思わせる。
 もうひとつのポイントは創業者同士の別の対立軸で、ネット時代の「発明」概念に関わる。ジャックは自分が「発明」したと主張する。これに対してエブは「インターネット上のものは、だれかが発明したことにはならない」と言う。ネット時代の発明という概念について考えさせられるエピソードだ。
 3つめのポイントは、若者たちの争いの根源が何であったかだ。若者たちが「発明」してしまったミニブログのシステムは創業者たちの思惑をはるかに超え、モンスターに成長してしまった。それはイランの「革命」を主導し、世界を変動させる。私たちはシステムに振り回される運命の時代を生きているのだ。この物語はそのことをあらためて確信させずにはおかない。
(中央大学教授 田中 洋)


Wikipedia
Twitter(ツイッター)は、140文字以内の「ツイート」と称される短文を投稿できる情報サービス[1]で、Twitter社によって提供されている。「ミニブログ[3][4] 「マイクロブログ」[5]といったカテゴリーに分類される。
サービス名の「twitter」は英語で「さえずり興奮」「無駄話」、または「なじる人・嘲る人」の意味である[6]Twitterでの発言を指す「tweet」は「さえずり」の意味で、日本では「つぶやき」と意訳され定着している[ 1]
ゆるいつながり[8]が発生し、広い意味でのソーシャル・ネットワーキング・サービスSNS)の1つといわれることもあるが[3]Twitter社自身は、「社会的な要素を備えたコミュニケーションネットワーク」であると規定し、SNSではないとしている[9][10]
Twitter20067月に元オブビアウス社(現Twitter社)が開始したサービスで、同社の登録商標日本:5188811号)である。

概要[編集]

アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコに本社がある。Twitterに発言を投稿するにはパソコンや携帯電話、スマートフォンで自身のアカウントにログインし、画面上部のボックスに140文字以内で内容を入力し「ツイート」ボタンを押すことで投稿が完了する。また携帯メールでの投稿も可能である。[1] この投稿はインターネットに接続できる環境であれば誰でも見ることができる。[11]
またTwitterにログインした際自分専用のページ「ホーム」のタイムラインには、自分の投稿とあらかじめ「フォロー」したユーザーの投稿が時系列順に表示され、各ユーザーが自分の近況や感じたことなどを投稿し、時に他のユーザーがそれに対して話しかけたりすることで、メールやIMに比べて「ゆるい」コミュニケーションが生まれる。
一方「キーワード検索」をすると「キーワードを含んだ投稿」のタイムラインが生成され、「キーワードを含んだ投稿」でつながったグループが自然発生する。同じキーワードを含んだ投稿をすれば、グループに参加することもできる。「トレンド」により、いま多く投稿されている「キーワード」を知ることができる。トレンドの範囲を国別に、または主要都市別に絞り込む機能もある。
投稿や閲覧は公式サイト上で行うほか、便利な機能を備えた各種のライアント・クライアントウェブサービスや、iPhoneAndroidといったスマートフォン用のアプリも多数公開されており、またUbuntu 10.04以降では標準でマイクロブログクライアントのGwibberが搭載され、デスクトップ環境に統合されるなど、さまざまな環境で使うことができる。
コミュニケーション・メディア(通信媒体)の分類方法として、情報の送信されるタイミングと受信側に届くタイミングのギャップの有無により「同期型(ギャップなし)」「非同期型(ギャップあり)」に分けるものがあるが[ 2]Twitterの場合は原則として非同期的(ある利用者のツイートが別の利用者に読まれるまでにタイムラグがある)に使用されているものの、一時的に同期的に(つまりチャットのようにほぼリアルタイムで)通信が行われることがあり、同期型と非同期型が混在した媒体であるといえる。利用者が必要に応じて同期的な通信することを選択できるという意味で「選択同期」と表現されることもある。[12]
2013年に入り、利用者数の伸びが「鈍っている」ことが確認されている。[1]

沿革[編集]

Twitterのアイデアになったメモ
創成期にブログ・サービス「ブロガー」を開発し、その後グーグル社に売却したエヴァン・ウィリアムズや、ブロガーの開発チームの一員だったビズ・ストーン、ジャック・ドーシーらが中心となって開発した。ジャック・ドーシーによると、Twitterの基本構想は自身が20006月に思いついた[13]LiveJournalよりもリアルタイム性が高く、どこにいても自分の状況を知人に知らせたり、逆に知人の状況を把握できたりするサービスの可能性に気づいたという。ドーシーはそのアイデアを5年間あたため続け、その後、オデオ社のプロジェクトとして立ち上げた。
20067月から始まったTwitterのサービスは、20073月に米国で開催されたイベント「サウス・バイ・サウスウェスト」(South by SouthwestSXSW)でブログ関連の賞を受賞した[14][15]ことで一躍注目を集めるようになった。
設立以来、共同創業者たちが主に自己資金で経営してきたが、2007726日にユニオン・スクエア・ベンチャーズ(Union Square Ventures)やチャールズ・リバー・ベンチャーズ(Charles River Ventures)、複数の個人投資家から資金を調達したことを発表した[16]
200817日、デジタルガレージグループがTwitterに出資するとともに、日本展開の支援を発表[17]2008423日にユーザインターフェースが日本語化された日本語版が利用可能になった[18]。さらに20091015日には携帯電話向けサイトを開設[19]、同時にウィルコムの公式コンテンツとして登録された[20]
200821日、Twitterは信頼性を理由に、NTTコミュニケーションズ100パーセント子会社であるNTT Americaホスティングサービスを選んだと発表した[21][22][23]
2009323日、大手企業重役つぶやきサイトの「エグゼック・ツイーツ」(ExecTweets)が設立された。このサイトのスポンサーはマイクロソフトである。また、マイクロソフトは自社のXbox Liveから、Twitterフェイスブックラスト・エフエムなどへアクセスできるサービスを付加する計画を発表している。
201049日にはリサーチ・イン・モーションと協力してBlackBerry端末用公式クライアントアプリ「Twitter for BlackBerry」の無料配布を開始し[24]、同日はさらにiPhone用閲覧アプリ「Tweetie」を買収しTwitter公式アプリとして無料配布すると発表[25]519日より「Twitter for iPhone」として公開された[26]。また430日にはGoogle社のAndroid開発チームと協力して開発された公式閲覧アプリ「Twitter for Android」の無料配布も開始されている[27]
2010831日をもってTwitter APIにおけるBasic認証(ベーシック)の対応を終了し、完全にOAuth(オーオース)に移行した。当初630日で終了する予定だったが、2010 FIFAワールドカップの開催以後その影響でシステムが不安定な状態が続いていることから延期された[28]
20126月、ロゴデザインを変更[29]。円形や黄金比を駆使したものとなった [30][31]。同年95日よりTwitter APIのバージョン1.1を提供開始。また開発者向けの表示ガイドライン[ 3]を大幅に変更した。一般ユーザーはクライアントがユーザー認証数の上限に達していると使えない、ブログやWebサイトの古い形式のTwitterウィジェットが利用できないなどの影響を受ける。[32]。その後、2013611日にAPIバージョン1.0の提供が終了となり、これによりバージョン1.1に未対応のTwitterクライアントは利用が不可能となった[33]
2013523日、TwitterSMSを使った2段階認証システムを導入。日本以外の地域では利用可能になっており、日本でも「できるだけ早く、より安全な方法がご利用になれるように努力しておりますので、もうしばらくお待ちください」[34]とコメントしている。
2013828日、ーシャルメディア分析ツールを提供するニューヨークのTrendrrを買収し、99日にスマートフォン向けホスト型広告配信を手掛けているベンチャーのモーパブ(MoPub)を買収している。
2013117日、Twitter社(Twitter IncNYSE: TWTR)は、ニューヨーク証券取引所に株式を上場した。公開価格26ドルに対し、初値は公開価格比73%高の45ドル10セントをつけた。[35]

用語・機能[編集]

プロフィール・アカウント関連[編集]

自分のプロフィールおよびアカウントに関する設定は公式サイトの設定ページから行う。携帯電話向けサイトは一部機能が制限されている。
アカウント
登録にはメールアドレスパスワードが必要。アカウント名は半角英数字とアンダースコアのみ使用可能で15文字以内[36]。使用時にはアカウント名の前にアットマーク@)が付加される。アカウント名は登録後に設定から変更することもできる。登録したアカウントに対し http://twitter.com/(アカウント名) というページが割り当てられる[ 4]
プロフィール
アカウント名の他に表示名(スクリーンネーム)を自由に設定でき、アイコンとして好みの画像ファイルを指定できる。公式サイトや各クライアントソフトウェアでは正方形にトリミングして表示される。画像ファイルを指定しない場合はのアイコンが使用される(2010年以前は別のデザインだった[37])。
他に最大160文字の自己紹介文を掲載できるほか、ウェブサイトへのリンクを設定でき、各アカウントの個別ページに表示される。また個別ページではフォロワー数とフォロー数が表示され、これらはプロテクトユーザーでも必ず公開される。個別ページの背景画像などのデザインは用意されたテンプレートから選ぶか、画像ファイルをアップロードするなどしてカスタマイズできる。
プロテクト (protect)
自分の投稿を限定公開(一般非公開)にすること。この設定をしているユーザー(プロテクトユーザー)は鍵(南京錠)のアイコンが表示されるため、俗に「鍵付きユーザー」とも呼ばれる。プロテクトを設定しているユーザーの投稿を読むには、そのユーザーにフォローをリクエストし、許可されることが必要となる。

投稿関連[編集]

ツイート (tweet)
ユーザーから投稿される140字以内の文章のことで、それぞれに固有のURLが割り当てられる。文字数に半角・全角の区別はない。以前は日本版公式サイトで「つぶやき」として表記されていたが、「ツイート」に統一された。元々は字数制限は無かったのだが、携帯電話のSMS機能を利用した投稿が多かったため、そのSMS機能の字数制限160字から利用者名分の20文字を引いた字数を上限とする様に仕様が変更された[38]
Twitterのウェブサイトからツイートを閲覧する場合は、直近の3200件迄しか閲覧できない。個別のツイートのURLに直接接続するなど手間をかければ3200件以前のツイートも閲覧できる場合がある[39]Twitter, Inc.の登録商標である。(日本第5332541号)
リツイート (retweet)
他のユーザーの投稿を再投稿すること。自身のフォロワーにそのツイートを見せることができる。RTと略すことが多い。
リツイート機能は200911月に英語版の一部ユーザーを対象に試験的に実装され[40]2010122日より日本語版Twitterにも追加されている。元のツイートが削除されると公式リツイートも削除される。プロテクトユーザーのツイートはリツイートできない。
自分がフォローしている人のうち誰かがリツイートした場合、自分がフォローしていない人の投稿であっても、その投稿が自分のタイムラインに表示される。
後述する非公式リツイートと区別する目的で、公式リツイートとも呼ばれる。
タイムライン (timeline)
フォローしている人の投稿やリツイートが時系列に並べて表示される画面。TLと略す。最新の投稿が一番上に表示され、古い投稿は下に流れていく。リストや検索機能を使うと別のタイムラインが表示される。
ユーザーストリーム (userstream)
常にTwitterサーバーと接続し、リアルタイムでツイートが更新されるタイムラインのこと。そのためユーザーがタイムラインを更新するアクションをしなくても自動でタイムラインが更新される。公式以外のクライアントでこの機能に対応している場合がある。
リプライ (reply)
他のユーザーに宛てた投稿のこと。「@ユーザー名 (投稿したい内容)」の書式で投稿すると、そのユーザー宛の返信扱いとなる。自分宛の投稿は一覧ページで確認することができる。ツイートの最初に@ユーザー名を入力して投稿すると、投稿をしたユーザーとされたユーザーのどちらか片方のみをフォローしている第三者ユーザーのタイムラインには表示されないが、双方をフォローしているユーザーのタイムラインには表示される。一方@ユーザー名をツイートの途中に入れて投稿すると、さらに投稿をしたユーザーをフォローしている第三者ユーザーのタイムラインにも表示されるため、あえて@ユーザー名の前に"."をいれたり"@"2つ重ねたりする場合もある。リプライはその投稿を行なったユーザーのページを開けば誰でも見ることができるので、ダイレクトメッセージと違いプライベート性は低い。
リプライには返信元ツイートの情報が付加されるin-reply-toといった機能がある[ 5]。これを利用して会話の流れをスレッド形式で表示することもできる。
非公式リツイート
他のユーザーの投稿をコピー・ペーストし、「RT @ユーザー名 (元のユーザーが投稿した内容)」の書式で投稿すること。公式リツイートだと、リツイート元がそのツイートを消した場合、リツイートも消去されてしまうが非公式
リツイートは通常のツイートとして認識され、消されない。「RT」の前にリツイートしたユーザーの独自のコメントを入れたり、元のツイートにないハッシュタグを付けたりする場合もある。複数のユーザーが同じツイートを公式リツイートした場合、タイムラインには同じツイートは1つしか表示されないようになっているが、非公式リツイートの場合はツイートが重複して表示される。これにより重要な情報が埋もれやすくなる弊害があるため、Twitter社としては非推奨で、公式リツイートの使用が推奨されている[41][42]
パクリツイート
他のユーザーの投稿をコピーペーストし、元の投稿者名を表示せずにそのまま投稿することを示す俗語。パクツイと略す。非公式リツイートは元の投稿者名を表示するのに対して、パクリツイートはあたかも自分自身の言葉で投稿したように見せかける[43]、すなわち盗用(パクリ)となるのが相違点である。

フォロー関連[編集]

フォロー (follow)
他のユーザーのツイートを自分のタイムラインに表示できるようにユーザーを自分のフォローリストに登録すること。相手のユーザーのフォロワーになるということ。相手の設定によってはフォローされたことが通知される。ツイートを公開にしているユーザーの場合は設定した時点ですぐにフォローとなるが、ツイートを非公開にしているユーザーをフォローする場合は、設定すると相手にリクエストを送ることになり、相手が承認した時点でフォローとなる。自分をフォローしているプロテクトユーザーをフォローする場合でも相手の承認が必要。
フォローイング (following)
自分がフォローしている他のユーザー。英語のまま「フォローイング」(Following)と呼ばれることもある。
フォロワー (follower)
自分のことをフォローしている他のユーザー。著名人は立場上フォロワーの数が増えやすい傾向にある。
フォロー解除 (unfollow)
特定のユーザーのフォローを解除すること。フォロー前の状態に戻るため、フォロー解除したユーザーの投稿が自分のタイムラインに表示されなくなる。日本では「リムーブ」(remove)もしくは略して「リム」とも呼ばれるが、正式な呼称ではない。
ブロック (block)
特定のユーザーからのフォローを拒否すること。ブロックされたユーザーは、ブロックしたユーザーをフォローすること、お気に入り登録、リツイートなどの操作ができなくなる。またブロックされる前にフォローしていた場合でもブロックされた時点でフォローが強制的に解除される(「ブロックされているのでこのユーザーをフォローすることができません」「この操作は許可されていない可能性があります。」などと表示される。)
ミュート (mute)
2014513日より実装[44]。自分がフォローしている特定のユーザーのツイートを自分のタイムラインに表示させなくする。リプが来ても通知が届かない。そのユーザーへのフォローは解除されず、対象の相手にはミュートを設定したことは知らされず、リムーブとは違うため、自分自身からは相手にミュートされたことを確認するのは難しい。ミュート状態を解除することも可能。

グルーピング[編集]

サーチ (search)
検索することで、キーワードを含んだ投稿がリアルタイムで、タイムラインに表示される。検索ワードは保存でき、いつでも更新できる。
トレンド (trends)
今、数多く投稿されている単語が地域別に表示される。当初は欧文のワードしか表示されなかったが、現在は日本語にも対応している。対象地域として「日本」「東京」、201222日より「札幌」「京都」「福岡」「大阪」「仙台」「名古屋」の6都市が加わり[45][46]20126月現在では「高松」「沖縄」も加わっている。20126月からトレンド表示のパーソナライズ化(フォローしているユーザーを分析して興味がありそうなワードを表示する)が行われるようになった(無効にすることも可能)[47]
ハッシュタグ (hashtag)
特定のトピックに関する投稿を、公式のTwitter検索から一覧して見ることができるように、キーワードの前に#を置いて投稿する。以前は、日本語を含むマルチバイト文字に対応していなかったが、2011713から利用できるようになった[48]
リスト (list)
ユーザーを名前付けたリストで分類する。公開または非公開が設定できて、自分だけしか見られないリストとしても設定できる。ただし、1つのアカウントで作成できるのは1000件(過去20)までで、1つのリストに登録できるのは5000ユーザー(過去500ユーザー)までである。
その他条件としてリスト名は25文字以下の英数字である必要があり、数字で始まるものにはできない。
過去、自分自身を自分が作成したリストに追加ができたが、現在公式ではできなくなっている。
お気に入り (favorites)
気に入った投稿をブックマークしたい場合などに星マーク()を付けてお気に入りに登録する。一部の日本ユーザーは英語表記の「Favorites」をローマ字読みし、『ふぁぼ』と呼ぶ場合もある。お気に入り登録後に一覧表示したりすることができる。
検索メモ
何度も見たい検索をメモとして保存する機能。Twitter内で検索すると右上に表示される「この検索を保存」から登録できる。

その他[編集]

ホーム (home)
自分のホームページ。自分の投稿や、フォローしているユーザーの投稿がタイムラインとして表示される。
ダイレクトメッセージ (direct message)
フォローされている特定のユーザーに、第三者から見ることができないメッセージを送る機能。DMと呼ばれることが多い。自分がメッセージを送る相手をフォローしている必要はないが、相手が自分をフォローしていないとメッセージは送信できない。一般的な電子メールとの違いとして、送信者側がメッセージを削除した場合には受信者側も閲覧できなくなるという特徴がある。(ただし、DMが送られたときに登録に使用したメールアドレスにその旨を通知する設定にしてある場合は送信者が削除しても受信者はメールボックスより閲覧することができる。)
ビア情報(via情報)
利用したクライアントに関する情報。「via ***」と言う形式(公式であれば「via web」)でアプリケーションの名前とそのアプリケーションの情報が書かれたページへのリンクを提供する。Twitter公式から投稿した場合のみ、リンクが提供されない。
ボット (bot)
定期的にニュースや情報などを投稿したり、遊びを目的として著名人や漫画・アニメ・小説などのキャラクターの台詞を模倣して投稿、または独自のキャラクターとして本物の人間を模したような投稿を行う自動プログラムのこと。中には投稿の自動検索により捕捉した特定のキーワードに反応して、リプライや非公式リツイートを返してくるボットもある。
フェイル・ホエール (fail whale)
Twitterにアクセスが集中しサイトの機能が停止した時、「Twitter is over capacity.」(「Twitterは容量が超えた状態にある」を意味する)というエラーメッセージと共に表示されるクジラのキャラクター。オーストラリアの女性イラストレーター、イーイン・ルー (Yiying Lu) がデザインを担当した[49]Tシャツやマグカップなどの公式グッズも登場している[50]
アクティビティ (activity)
201111月に追加された機能。フォロー相手のリツイート、お気に入りへの追加、誰をフォローしたかが可視化されるシステム。自分の行動も筒抜けとなるため、一部には批判の声もある[51]
スパム報告 (Report for spam)
後述の迷惑ツイートに対応するための機能。「スパム報告する」をクリックすると、当該ユーザーをブロックすると同時に、Twitterのスパム調査チームに通報される。利用規約に照らし悪質と判断された場合、アカウント凍結(強制利用停止)となりそのアカウントは使えなくなる。
キーボードでコナミコマンド(上上下下左右左右BA)を入力すると青い鳥のロゴが回る[52][53][54]

関連サービス[編集]

Twitterの特徴として、ほぼ全ての機能に対応するAPIがある。これを利用した多くの関連サービスが公開されており、Twitter普及の一因となっている。

URL短縮サービス[編集]

ツイートにURLを含めて140文字に抑えるのは難しいため、20文字程度の短いURLから本来のURLへと自動転送を行う、URL短縮サービスが各所で利用されている[55]。元々「TinyURL」「bit.ly」などの外部サービスが利用されてきた。一部のクライアントにはURL短縮サービスと連携し、クライアント上でURL短縮を行ったり、投稿時にURLを自動的に短縮したりする機能を備えるものがある。
2011
年よりTwitter公式の短縮サービス「t.co」が全URLを対象に用いられるようになった[56]。クライアントやユーザー自身が設定しなくても自動的に短縮され、タイムライン上では自動的に伸長されて元のURLが表示される(一部のクライアント等を除く)。外部サービスを使用すると二重に短縮されることになる。

クライアント[編集]

Twitter公式ページに直接アクセスせず、専用のアプリケーションを通じて閲覧や投稿を行うためのクライアントが各企業や個人によって多数公開されている。ユーザーのニーズに応じたスタイルで利用できるほか、携帯電話スマートフォンなど持ち運び可能な端末から場所を問わず投稿する手段としても利用される。
ウェブサービス型
Twitter公式と同じようにウェブページへアクセスして投稿する。パソコンで利用可能なものと携帯専用のものが存在する。
デスクトップアプリケーション
デスクトップ上で単体のアプリケーションとして起動するタイプ。Adobe AIRを利用してクロスプラットフォームで動作する種類も存在する。
各端末専用アプリケーション
携帯電話やスマートフォン、タブレットなどの専用アプリケーションとして動作するタイプ。
ブラウザのアドオン
Firefox拡張機能など、特定のブラウザの追加機能として動作するタイプのアプリケーション。動作環境はブラウザに依存する。
電子メール投稿型
専用メールアドレスへツイートの内容を送信することにより投稿できる。タイムラインの請求やリツイートなど多くの機能を通常のメールを送信する感覚で利用することができ、手軽である。なお、一斉送信システムを用いたがためにこの専用アドレスに誤ってアドレス変更メールを送りつけてしまい、個人情報を全世界に発信した例があるため、扱いには注意を要する。

ツイートボタン[編集]

ウェブページにボタンを埋め込み、そのページから直接Twitterの投稿画面を呼び出すソーシャルボタン。埋め込んだページのタイトル、URLやツイートボタン設置者のアカウント名などを自動で埋め込むことができるため、Twitterで気軽にそのページを紹介したり、関連アカウントのフォローを促したりすることができる[57]Twitterが公式提供するボタンのほかに、一部のニュースサイトではソーシャルブックマークへの登録ボタンと一緒にツイートボタンが設置されている。
なお、ツイートボタンからの投稿はクライアントによる投稿と同種のものとして扱われ、ビア情報には「TweetButton」と表示される。

ウェブ・インテンツ[編集]

Twitterが公式提供するサービス。ウェブページに規則に基づいたリンクを埋め込むことで、そのページから直接ツイートへのリプライ、リツイート、お気に入りや、アカウントのフォローを行うことができる。ツイートボタンと同様、ウェブページを離れることなくTwitterの操作が行える。[58]

口コミ広告[編集]

ブログ広告のようにTwitterでも口コミ広告のようなサービスがあり、つぶやくことによって5-上限で990円の収入を得られるシステムがある。堀江貴文もそれを利用しておりTwitterでは特定のキーワードでつぶやくスポンサーからお金をもらえることがあると西村ひろゆきとの対談で明らかとなった。[59]

画像投稿サービスなど[編集]

個々のURLを短くするなどTwitterに適応させた外部の画像投稿サービス(TwitPicLockerzYfrogフォト蔵ついっぷるフォトなど)が盛んに利用されている。クライアントによっては画像を自動表示できる。2011年よりTwitter公式の画像投稿サービスであるTwitter PhotoPhotobucketがホスティング)が開始された。
動画の共有は既存のYouTubeが使われることが多い。他にTwitter連動で手軽にストリーミング動画生放送ができるTwitCastingなどもある。

その他の主な関連サービス[編集]

以下はいずれも非公式の関連サービスである。
·         TwitLonger - 140字を超える文字列を投稿できる。投稿された内容は別のページとして作成され、Twitter側にはそのページのURLが表示される。
·         favstar - 人気ツイートを表示する。
·         ふぁぼったー - 人気ツイートを表示する。
·         togetter - ツイートのまとめサイト。様々な人のツイートを選び出して並べ、1画面にまとめて表示させることができる。
·         OnSay - Twitterアカウント同士で無料通話ができる。

アカウントの形態[編集]

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この節は検証可能参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(20101月)
Twitterの利用が拡大するに従い、さまざまなアカウントの形態がでてきている。
Twitterアカウントのユーザーは人間に限らず、botと呼ばれる自動発言プログラムが投稿している場合もある。

公式アカウント[編集]

その影響力の大きさに注目した企業や団体などの「公式アカウント」が存在する。なりすましを防ぐためTwitter側で本物であることが確認できた著名ユーザーに認証バッジと呼ばれる特別なバッジ(水色の地に白色のチェックマーク)を付与し、「認証済みアカウント」とする。この認証バッジはユーザーのプロフィールページに表示される。またそのマークを自身のプロフィール画像に埋め込んで公式アカウントに見せかける悪質なユーザーも出てきている[60]
「認証済みアカウント」機能以外に、ユーザーアカウントの真正性をオンラインで確認する手段として、Twitterは自身の公式ウェブサイトからTwitterのプロフィールページにリンクを張ることがもっとも簡単だとしている[60]
団体や個人になりすました[ 6]アカウントによるなりすまし発言が問題となっている。

Twitterにまつわる問題[編集]

位置情報付きツイート[編集]

スマートフォンの急激な利用者増加に伴い、安易に位置情報付きツイートを投稿してしまうユーザが増加している。現在までに位置情報投稿による大きな事件は報告されていないが、利用者に対し注意喚起を求めるソフトウェアが公開されており、大きな社会問題となりつつある[61]。また、位置情報を付けていなくても、「(場所名)なう」「帰宅なう」などのツイートを投稿している場合、投稿件数が多いと、日常の生活習慣や行動スタイルなどが明るみになり、空き巣などの犯罪に巻き込まれる恐れがある。

社内文書漏洩問題[編集]

2009715日、Twitter社が「Google Apps」上で管理していた社内文書が、複数のブログ運営者とメディアに送られるという事件が発生した[62][63]。この件ではTwitterのユーザ情報などは漏洩しなかったが、後に漏洩の原因がグーグル・アップスのパスワードが「password」だったため、容易に推測され、盗まれたのだと判った[64]

迷惑ツイート[編集]

迷惑メール同様、無差別かつ大量に個々のアカウントDMに広告が送信されることがある。「スパム報告する(Report for spam)」機能で通報することで少なからず迷惑ツイートは減っているものの対応が後手に回っていることは事実である。 また自己紹介の写真の更新が可能であることから、フォロー者による、嫌な相手を傷つけるための写真の更新がされることが多い。加えて、「つぶやく」側も同様、嫌な相手を傷つけるためだけの写真の紹介も多い。その場合の紹介文は事実と無関係なことが多い。

ハッシュタグの乱用[編集]

前述のとおり、「ハッシュタグ」により、特定のトピックに関する投稿の一覧を検索して見ることができるが、中にはその機能を悪用し、特定のトピックと無関係のツイートにハッシュタグを乱用する悪質なユーザーもいる。なお、Twitter社による「Twitterルール[65]」では、上記の行為は「スパム行為」とみなされているのでスパム報告が可能。

デマの拡散[編集]

出所の不確かな情報を流したり、なりすましのユーザーが故意に嘘を流したり、エイプリルフールなどのネタのツイートを真に受けたユーザーがツイート・リツイートしたりすることによって、チェーンメールと同様に誤った情報が拡散するケースがある。
日本においては、20137LINE公式アカウントを装ったアカウントにより「LINEがサービスを終了する」という内容をツイートしてこれが広まり、公式アカウントが否定するに至った事例[66]などがある。また同年7月の韓国では、ロッテ七星飲料の一部代理店が「他社の焼酎に軽油が混入していた」との記事をリツイートするなどして広めたとの告発を受け、警察の家宅捜索を受けている[67]20137月には、「パーナ」と呼ばれる利用者らの間で大量のデマゴーグが拡散され、それを鵜呑みにしたユーザが各地で問題行動を起こす「パーナさん事件」と呼ばれる騒動が発生した[68]

犯罪告白問題[編集]

Twitter上において飲酒運転無免許運転、未成年飲酒、窃盗、有償ソフトウェアの違法ダウンロードといった犯罪行為、また犯罪と呼ぶには至らない悪乗り[63][69]を自ら暴露するツイートが後を絶たず、さらにこうしたツイートをした人物が本名あるいは学校などの個人情報をそのまま載せていたり、もしくは別の場所に載せているか簡単に特定が可能な情報を載せていたりする場合がある。こうしたツイートを見つけた2ちゃんねらーなどのネット自警団とも呼ばれる[70]存在が、同一人物と見られるmixiFacebookなどのページを探し、個人情報を特定した上で就業先の企業学校警察に通報および抗議を行うと言う事例が後を絶たない。また有名人を名指しした殺害予告や無差別殺人、「○○サリンを撒く」などとツイートして他人に影響を与える犯罪予告のツイートも増えており、警察が出動し逮捕者も出ている[71]。そのため、日本のネット上ではTwitterバカ発見器バカッターと揶揄されることもある[69][72][73]
なお、学生の1割が俗に「バイトテロ」とも呼ばれるアルバイト従業員による悪ふざけのような投稿を容認していることが日経MJの調査で明らかになり、ツイートが全世界につながっているという重大性を認識できていないことが背景にあるとみられている[73]

ツイート広告サービス問題[編集]

ユーザーがとある商品を口コミを装って広告代金がもらえるステルスマーケティングに類似した広告制度がある。つぶやき一つで中には数千円、毎日3回つぶやけば年収ベースで1000万円にもなる。つぶやく内容は広告会社と詳しく打ち合わせて決められている。とあるフォロワー数が23000人いるユーザーはつぶやき1回で5578円もらえるというがユーザーの信頼を失いたくないのでその程度の金額ではやらない、とても怖い感じがしたと述べている[74]

アカウントの乗っ取り問題[編集]

悪意のあるURLに接続すると、アクセストークンといったTwitterアカウントを自由に操作できる権限を他人にも奪われる[ 7]場合がある。そのURLは『Did you see this pic of you? lol』といった英文に添えてDMで送られてくる場合が殆どで、乗っ取られたアカウントのフォロワーに同様のDMを送り蔓延する、チェーンメールと同じような仕組みになっている。また最近は、日本語に添えてURLが送られてきたりなど手段が巧妙化してきている。 そのためTwitterOAuth認証の方法を改善する対策を行なっているが、対応が後手に回っていることも事実である。

芸能人成り済まし問題[編集]

芸能人に成り済ましてTwitterを開設しファンなどがだまされるケースが増えている。一応ファンを楽しませようとするのもあれば、芸能人の品位を落とすかのような悪質なものもある。対策として事務所が公式サイトにて偽者と注意を促したり、本人がTwitterを開設するなどしている。

芸能人、有名人に誹謗中傷問題[編集]

Twitterでは簡単にやり取りが行えてしまうため芸能人に対する誹謗中傷が問題化している。ひどい場合には本人のアカウントが炎上してしまうケースもある。またTwitterに書いた内容は基本的に全世界に公開していることになるのだが、誹謗中傷を書かれた人が、書いた人に反論をするとエゴサーチと呼ばれ叩かれてしまうケースもある。

芸能人、有名人の盗撮被害問題[編集]

Twitterは写真を乗せることも簡単なため街で見かけた芸能人、有名人を無断で盗撮し写真を乗せるというケースが後を絶たない。被害にあった芸能人はマナーを守ってほしいと苦言をすることが多くなっている[75]

利用状況[編集]

·         黎明期の2007年はTwitter1日のツイート数は約5000回ほどだったが、2008年に入ると一気に130万回に増加し、2009年には1日のツイート数が250万回を超えるようになる。さらに2010年に入ると前年比1,400%の伸びとなる13500万回を記録[76]20106月には2010 FIFAワールドカップ開催の影響により全世界でのツイート数が16500万回を突破した。これは毎秒750回のツイートがあったことを示している[77]
·         20096月時点で日本国内からTwitterにアクセスしている実際の人数は約320万人(全世界では約1.1億人)。男女比は男性が72%、女性が28%で、年齢層は最も多い層が35 - 44歳の42%、そして45 - 54歳の18%25 - 34歳の17%と続いている(Googleの統計から)[78]。なお、ビル・ゲイツティム・オライリーなどIT関係者や有名テレビホストのオプラ・ウィンフリーなどの多くの著名人や、マイクロソフトなどの大企業が広報活動として利用している。また、Twitter議員というTwitterを利用する海外および日本の議員・政治家の総称まで生まれた。
·         2009617日の報道によれば、イラン大統領選挙 (2009)の抗議活動の参加者たちは規制から漏れた数少ない通信手段として、Twitterで連絡を取り合っていた[79]。なお、同年1218日にDNSレコードが一時的に侵害され、イランのサイバー軍を名乗るクラッカーTwitterを改ざんし、Twitterは一時利用できない状態になった[80]
·         2009721日、日本政府は民主党藤末健三参議院議員の質問主意書に対し、選挙運動でのTwitterの利用は公職選挙法で禁じている違法な文書図画の配布に該当するという見解を示した[81]。また、公職選挙法の改正論議でTwitterの選挙期間での使用解禁を検討したが、審議中になりすましが横行している例が取り上げられ、選挙妨害の可能性が極めて高いとして解禁は見送られている。なりすまし横行の記事
·         20105月末に総投稿数が150億回の突破、150億番目の投稿は日本の利用者によるものだった[82]。その後の2カ月間でさらに50億回の投稿があり、日本時間の81日午前044分、再び日本の利用者による投稿で200億番目を記録した[82][83]
·         2011年現在、TPS1秒間あたりのツイート数)の最高記録は2011129日に日本で放送された金曜ロードショー日本テレビ)『天空の城ラピュタ』の終盤の山場に登場するセリフ「バルス」の瞬間で25,088TPSとなっている[84][85]2位は2011831日にビヨンセの妊娠が発表されたときの8,868TPSで、スポーツイベントにおける最高記録は2011718日に行なわれた2011 FIFA女子ワールドカップ決勝で日本が優勝を決めた瞬間の7,196TPS(全体の3位)となっている[86]
·         201071日、フランスの調査会社Semiocastが世界の地域におけるTwitterの投稿件数をまとめた調査結果を公表した。20106月の投稿数は国別で世界全体の25%を占めたアメリカ合衆国が1位となり、2位は全体の18%を占めた日本であった(3位以降はインドネシア、ブラジル、イギリスと続いている[87])。また、ネットレイティングス20106月末にまとめた調査で日本のTwitter利用者数は2010年時点で前年の19倍に達しており、実利用者数に限ればすでにアメリカ合衆国を追い抜いているとのこと[82]
·         初めてフォロワーが100万件を突破したのは俳優のアシュトン・カッチャー20094月のことである[88]。初めて1000万件を突破したのは歌手のレディー・ガガ。日本ではソフトバンク社長の孫正20114月に初めて100万件を突破した[89]
·         ブランド名のTPD1日あたりのツイート数)記録は20121111日に記録した江崎グリコの菓子商品「ポッキー」。184,3733TPDを記録し、ギネス・ワールドレコーズによって記録認定されている[90]
·         201382日日本テレビ系列で放送された天空の城ラピュタで「バルス」した瞬間のツイート数は143199件であった。[91]

主なクライアント[編集]

·         公式Twitterクライアント - 様々なプラットフォーム[ 8]からTwitterができるようにリリースされているTwitter社の公式クライアント。後述するTweetDeckも含む。
·         TweetDeck - 元はTweetDeck社開発のクライアント。TweetDeck社がTwitter社に買収され、以降はTwitter社公式クライアントの一つである。
·         TwitPic英語版 - 画像共有サービス。Twitterが公式に画像投稿サービスを開始するまでは、Twitter上で画像を取り扱うための主要なサービスと見なされていた[92]
·         モバツイ - リクルート社主催「Mash up Award 3rd」特別賞、ほかいくつかの賞を受賞。


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