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小林一茶 時代を読んだ俳諧師  青木美智男  2013.10.28.

2013.10.28. 小林一茶 時代を読んだ俳諧師
著者 青木美智男 1936年福島県生まれ。日本近世史。明治大文卒。東北大大学院文学研究科修士課程修了。日本福祉大教授を経て、専修大教授、2007年定年退職。社会史・文化史を中心に、百姓一揆や民衆史の発掘、文学資料から歴史を読み解くなど、幅広い分野を考察対象とする。地域史の編纂等も手掛ける
発行日           2013.9.20. 第1刷発行 発行所岩波書店(岩波新書)
夏の暑さに豊作を願い、打ちこわし騒動に心を寄せ、大黒屋光太夫の帰国に反応し、「君が代」や「神国」日本を詠む。市井の営みをつぶさに見つめた一茶の句からは、外国船の出現に動揺し、国学に沸く激動の文化文政年間を生きる人々の姿が浮かび上がる。「幕末維新を準備した」と言われるその時代を、近世史家が読み解く
はじめに 一茶はメモ魔。毎日の出来事を簡略に記録し、それを整理して書き留めてきた稀有な俳諧師。亡くなるまで途切れることなくその日の出来事と詠んだ句を克明に記録 多作。未だに知らざる新句が発見される 旧来の慈愛に満ちたお爺さんというイメージは、蕉風的美意識で選別する作品論的観点からのみ描かれた一茶像 俳句のほかに、俳諧仲間との交流記録(『急逓記』)、全国に存在する俳諧師の作品収集の記録(『随斎筆記 抜書』)、読書・学習記録(『俳諧寺抄録』)等、生涯にわたって書き綴ってきた関係記録が存在する点で、江戸時代の他の俳諧師とは大きく異なる 俳諧師も人の子で、詠んだ句も時代を体現しているが、多くの俳諧師は極限まで自己抑制した表現で世俗を詠んできたため、世俗や時代の流れが沈潜してしまい、風雅さだけが表出する句が多い ⇒ その点一茶は、世俗の言葉を使いながら自己の思いや時代の動きを率直に句に詠んできた俳諧師 蕉風的美意識から見れば「句屑」とされ、一茶句集に殆ど収録されない句を、歴史学的な観点から読めば、俳人一茶が自己の人生観や時代観を飾り気なく表出した句ということになる
1.時代を詠んだ俳諧師 全国に300以上ある一茶句碑の第1号 ⇒ 1829年、門弟と親族が追善のために、長野県信濃町柏原(かしわばら)の諏訪神社(元々は北国街道の古間宿から柏原宿に入る入口)に建てた 松蔭に寝て食ふ六十余州哉 1829年、一茶が生前にまとめた521句を自選した遺稿集『一茶発句集』から選んだもの 「序文」に、「(…