男の貌(かお)  高杉良  2013.7.11.

2013.7.11. 男の貌(かお)  私の出会った経営者たち

著者  高杉良 1939年東京生まれ。化学業界専門紙の記者、編集長を経て、75年『虚構の城』でデビュー。経済小説がおおい。企業組織の不条理と戦うミドルの姿を描いた作品は日本中のビジネスマンから絶大な支持を得る

発行日           2013.1.20. 発行
発行所           新潮社(新潮新書)

13-06 第四権力』の作者紹介で興味

「勁さ」と「優しさ」を持つ者が、真のリーダーである―――。なぜ日本ではリーダー不在が続くのか? 本当に人材はいないのか? 長年にわたって数多くの経営者たちの姿を見つめてきた経済小説・企業小説の第1人者。その眼がとらえた本物のリーダーの姿とは。財界鞍馬天狗の異名をとった中山素平を始めとして、昭和時代を担った男たちの素顔と実像を伝えながら、漂流する現代日本の病巣を撃つ入魂の全6

バブル崩壊後、小泉・竹中自由主義路線の暴走によって、人の心までが痛んでしまった
リーダーの資質として人間性、中でも「つよさ」と「やさしさ」を挙げたい
第1章        財界鞍馬天狗の素顔――中山素平(1906)
ジャーナリスト草柳大蔵の命名
土光経団連会長が表とすれば、裏の顔
『夕刊フジ』から『小説 日本興業銀行』の企画が持ち込まれて、中山相談役の了解を取ってから取材を始めた
行内で中山が嫌っていたのが西村正雄 ⇒ 頭取時代の秘書。西村も煙たかったようで、3行合併の報告も自らはしていない

第2章        長靴に作業着の慈顔――森和夫(東洋水産創業者)
80年代末に朝日の阿部和義から、「東洋水産の森さんが、フレッド和田勇(ロス在住の日系2世で、東京五輪誘致に貢献)のことを書いてくれる人を探している」と相談があった(『祖国へ、熱き心を』)
その取材関連で、森とロスに同道して、本人の数奇な過去に興味を覚え、森の伝記を書く(『燃ゆるとき』)
ノモンハンの生き残りゆえに、「どうせ一度は死んだもの」という捨て身な気持ちになれる
勲章の類を一切断る

第3章        博士号経営者の温顔――八谷(やたがい)泰造(190670)日本触媒創業者)
業界紙時代に最初に会った経営者。死後だいぶ経ってから『炎の経営者』としてまとめた
一番の魅力は、社員を大事にしていたこと
阪大工学部の1期生。卒業後事業を続けながら博士号を取得

第4章        さまざまな出会い
坪内寿夫(来島ドック社長) ⇒ 『小説 会社再建』佐世保重工の再建問題がテーマ
佐世保の再建は成功したが、お膝元の来島が経営危機に陥り、私財300億をなげうって再建を果たすが、経営からは追放
1961年には犯罪者の更生のために私費で造船所の一角に受刑者の寮と作業場を設ける

小倉昌男(ヤマト運輸創業者) ⇒ 『挑戦つきることなし』宅急便誕生秘話。取材協力はしたが、面談は一切拒否(理由不詳)。刊行後も会っていない。陰湿ないじめを受けた被害者もいるので、毀誉褒貶が激しい?

福地茂雄(アサヒビール社長、NHK会長) ⇒ スーパードライのPL。成功から生まれる傲慢を戒めた

渡邉美樹(ワタミ創業者) ⇒ 『青年社長』連載。若手経営者の中では稀な、ドラマ性に富んだ半生と2部上場までの物語。政治に近づくのを懸念している

第5章        「悪」を描くとき
「悪」をヒーローにはできない ⇒ 「筆誅を加える」気持ちが強い。佐藤正忠(『経済界』社長)、塩路一郎(日産労組会長)、鶴田卓彦(日本経済新聞社長)、武井保雄(武富士創業者)
おのずから書ける限度があり、自制が必要 ⇒ 勇気を出す一方で我慢というものがある。特に描写対象にとって「負」になる部分を書くときには慎重な見極めが必要

第6章        リーダーの条件
「シャイ」な経営者 ⇒ 「恥を知る」「自制心」「程(ほど)」に繋がる
「好奇心が旺盛」
後継者選びこそ、経営者としての真価が問われるとき


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