永遠の0(ゼロ)  百田尚樹  2013.4.4.


2013.4.4. 永遠の0(ゼロ)

著者 百田(ひゃくた)尚樹 1956年大阪生まれ。同志社大中退。放送作家として人気番組『探偵! ナイト・スクープ』など多数を構成。06年本書で作家デビュー。高校ボクシングの世界を感動的に描いて08年に発表した小説『ボックス!』で圧倒的な支持を集め、一躍読書界注目の存在に。他に『聖夜の贈り物』『風の中のマリア』

発行日           2009.7.15. 第1刷発行                2010.8.23. 第13刷発行
発行所           講談社(講談社文庫)

20068月 太田出版より単行本として刊行

祖母の死で、祖父が実の祖父でなかったことを知った佐伯健太郎が、母親がふと自分の父親がどんな人かなといったことを聞いて興味を持った姉の誘いに乗って実の祖父・宮部久蔵のことを調べ始め、意外な事実を知る
宮部は、操縦練習生出身で海軍航空隊の一飛曹、結婚して娘を設けるが、ほとんど軍隊勤務、特攻に志願して死去
祖父は、国鉄職員から弁護士に転職。健太郎が跡を継ぐことを期待している
姉弟の父親は会計士。10年前に死去した後、母が事務所長として跡を継ぐ
姉は、出版社に勤務後、フリーのライターに
戦友会などに手紙で紹介した結果、何人かの戦友と繋がりができ、インタビューに行く
最初は、苦労して航空兵になった戦友で、空中戦で左腕をなくし、戦後も入り婿になって苦労した人の話 ⇒ 臆病者で、自ら志願して航空兵になりながら常に生きて帰ることばかり言っていた許せない奴との評価に愕然とする
空母で一緒だった予科練出身の元海軍中尉の話では、勇敢ではなかったかもしれないが優秀なパイロットだと。第一航空戦隊に配属され、真珠湾攻撃に選抜
次に会ったのが元海軍飛行兵曹長。ラバウルで宮部の部下となり、命の大切さを教えられた。宮部が、撃墜された米軍機のパイロットが落下傘で落ちていくのを狙撃、武士の情けを知らないと言って周囲から非難されたが、宮部の真の狙いは、戦闘機の代わりはいくらでも生産されるが、優秀なパイロットがまた戻ってきたら、味方のパイロットが殺されるので、パイロットを殺してこそ意味があるということだった
元海軍整備兵曹長は、ラバウルで宮部の零戦がいつも無傷で、弾を残して帰ってきたことを覚えていた。そんな人がなぜ特攻に志願したのか不思議と言った
元海軍中尉は、宮部と上海の航空隊の同僚で、勇敢な戦闘機乗りだったと回顧。19年にフィリピンで再会。レイテ島作戦で特攻が始まり、全搭乗員に集合がかかる。特攻志願を募る中、宮部1人が手を挙げなかったが、敵の襲撃で乗れる稼働機が無くなり本国帰還
元海軍少尉で特攻隊員の話。20年初め筑波練習航空隊飛行科の予備学生だったとき教官として来た宮部と会う。徹底的に不可を付け続け生徒には評判が悪かった
元海軍中尉で特攻要員の話。飛行学生として宮部教官の指導を受ける。宮部が特攻要員と共に九州へ向かう時、宮部の目の中に凄まじい生への執念を見た
元海軍上等飛行兵曹は元ヤクザ。人が命をかけて戦っているときに女房子供の写真を見て思い出している、それでいて腕前が優れている宮部に我慢がならなかった。終戦直前鹿屋から飛び立つ特攻の中に宮部の姿を見て驚き、彼の直掩機として飛ぶが、乗機が故障して援護できないまま見送ったのが最後
姉弟が最後に会ったのが鹿屋の元海軍一等兵曹の通信員。直掩をやっていた宮部が、最後に特攻を命じられて出撃の際、自らの乗機を予備士官の旧型機と取り換え、予備士官の乗った機はエンジントラブルで喜界が島に不時着し士官は命拾い、通信員の記録からその士官が今の祖父だったことを知る
姉弟は、祖父から初めてすべてのことを聞かされる
喜界が島に奇跡の着陸をした時祖父は宮部の「後を頼む」のメモを見る。戦後4年かけて遺族を探し当てた時、遺族は大阪で極貧の生活をしていた
実の祖父は、宮部教官の人柄に惚れ、筑波での訓練中突然飛来した敵機の攻撃から体を張って宮部を守った訓練生だった
祖父は国鉄に勤めた後、大阪に通って宮部の遺族を支えたが、宮部の妻も祖父を見たとき、そこに宮部の姿を認め、生まれ変わってでも戻ると言った夫が約束を果たしたのだと思った ⇒ 5年後に結婚した時、祖母が祖父に戦後の厳しい体験を打ち明けたが、それによると祖母は一時ヤクザの親分の囲い者になっていて、その親分が襲撃で命を落としたとき、血まみれの相手に命を助けられたというが、それは元飛行兵曹のヤクザ
エピローグ ⇒ 宮部が突っ込むさまは米空母によって確認され、水面すれすれを飛来した後急降下で甲板に突っ込んだが、不発弾のため爆発はせず。技量と勇気に敬意を表して艦長が水葬に付する


解説             児玉清
常に読む者の心を清々しく洗う事のできる小説を書ける作家、素晴らしき感動をもたらす小説を書ける作家というのは自ずと限定されてくる。百田氏は、まさにそうした範疇に入る作家の1人で、本書に出会えた時の喜びは筆舌に尽くしがたい
零戦パイロットにまつわる話
特攻で散華した実祖父の人物像を辿る
何度も心の底からこみあげてくる感動の嵐に胸は溢れ、突如うるうると涙を流し、本を閉じたときには、何やらハンマーで一撃を喰らったような衝撃とともに、人間として究極とも思える尊厳と愛を貫いた男の生き様に深々と頭を垂れ、心の中を颯と吹き抜けた清々しい一陣の風と共に美しい人間の存在に思いっ切り心を洗われた


Wikipedia
『永遠の0』は、百田尚樹による日本小説。著者のデビュー作であり、売上は100万部を突破、文庫部門では13作目のミリオンヒットとなった。
2013年に岡田准一主演で映画化が決定。2010年から2012年にかけて須本壮一作画で漫画化された。
ストーリー [編集]
司法浪人が長く続き人生の目標を見失っていた青年・佐伯健太郎が、フリーライターの姉・慶子から頼まれて、太平洋戦争終戦間際に特攻で戦死したこと以外は知らなかった祖父・宮部久蔵の足取りをわずかな手がかりの中から追い始めて、祖父の壮絶な生涯を終戦60年目の夏に明らかにする物語。
過去に特攻隊員だった従軍者達を全国に訪ね歩いて生き残った元戦友たちの証言から断片的に浮かび上がってきた祖父の姿は、日本軍敗色濃厚な中、異常なまでに死を恐れて生への執着を臆面もなく口にする戦闘機パイロットであり、祖父は仲間から「凄腕のゼロ戦乗りだが臆病者」「お命大事」「帝国海軍の恥さらし」と蔑まれていた。
調べるほど生前の祖父はそれぞれの証言者で違って評されていて、中には「殺してやろうと思った」など言う人もおり、健太郎は聞き取り調査を続ける気を無くしていたが、そんな証言を聞いて回るうちに「国のために命をささげるのが当然とされていた」戦時下の世相や背景など今まで全く知らなくても済んでいた、いろんな事に気づいていく。
天才的な戦闘機乗りで「卑怯者」と誹られても「生きて帰って娘(姉弟にとり母)に会うまで死なない」という妻との約束にこだわり続けていたのに、なぜ祖父は特攻に志願してしまったのか?
姉弟はついに60年の長きにわたって封印されていた、祖父と意外な人物との関係が明らかになる驚愕の事実にたどりつく。
201312月公開予定。
「原作を読んですぐ岡田さんが浮かんだ」という山崎貴監督と、「以前から一緒にお仕事をしたかった」という岡田准一が初タッグを組む。
20126月にクランクインし、奄美大島千葉茨城などのロケ地で大規模な撮影やアクロバティックな空撮を行うなど、近年の実写映画では稀に見る3ヶ月に及ぶ壮大な撮影が敢行された。
キャスト [編集]                           YouTube勝手予告編
·         宮部久蔵岡田准一                  小栗旬
·         佐伯健太郎三浦春馬               向井理
·         大石松乃井上真央                 
·         佐伯慶子吹石一恵                  竹内結子
·         佐伯清子風吹ジュン
·         大石賢一郎夏八木勲               青年期:三浦春馬
·         井崎源次郎橋爪功(青年期:濱田岳) 勝地涼
·         武田貴則山本學(青年期:三浦貴大
·         景浦介山田中泯(青年期:新井浩文
·         大石染谷将太
·         小山上田竜也KAT-TUN
·         山田佐々木一平
·         伊藤青木健                          成宮清貴
·         香川遠藤雄弥
·         寺西栩原楽人
·         長谷川梅男平幹二朗
·         谷川                                     桐谷健太、蒼井優


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