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権力の病理  Paul Farmer  2012.7.23.

2012.7.23. 権力の病理  誰が行使し誰が苦しむのか 医療・人権・貧困 Pathologies of Power Health, Human Rights, and the New War on the Poor2003
著者 Paul Farmer1959年生まれ。発展途上国での医療提供活動によって世界的に著名な医師、医療人類学者。ハーバード医学大学院国際保健社会医学部長などを経て2010年から同大学のKolokotrones University Professor。学生の頃からハイチの慈善活動に参加、87年国際保健のNPOパートナーズ・イン・ヘルスを設立。12か国に活動を広げ、貧困地域ではこれまで不可能とされていた結核やエイズの治療に成功。Farmer自身もトレーラーハウス暮らしの貧困家庭出身で、その半生記『国境を越えた医師』は全米ベストセラー。現在はハイチ人の妻と子供たちと共にルワンダに拠点を置く。マッカーサー財団フェローシップ、マーガレット・ミード賞など受賞多数
訳者 豊田英子 1952寝ぬ稀。東大文学部西洋史学科卒。翻訳家 解説 山本太郎 1990年長崎大医学部卒。東大大学院医学系研究博士課程国際保健学修了。京大、ハーバード大、コーネル大を経て現在長崎大熱帯医学研究所・国際保健分野主任教授
発行日2012.4.10. 印刷4.20. 発行 発行所みすず書房
世界の最貧困層と超富裕層のグロテスクな格差が最も深刻なのは医療の分野だ。安価な薬が手に入らず失われる膨大な命がある一方、医療技術の最先端は日々更新される。さらに医療「倫理」学の主な関心は、そのような高度医療の是非の問題であって、多くのアフリカの子供が、下痢性疾患によって5歳以前に死亡することではない。 ポール・ファーマーは30年以上にわたって貧困国で無償医療活動を行ってきた医師であり人類学者である。その活動は世界保健機関(WHO)のエイズ治療計画のベースにもなった。本書でファーマーは、偉大な豊かさの時代においても最も基本的な権利(生きるための権利)が無残に蹂躙されていることを、多くの例証によって示している。権利侵害は、「権力の病理」の現れであり、それに苦しむものと免れるものを決める社会的条件と密接に結びついている。しかし社会的条件が差別的に及ぼす悲惨な影響には人為が働いている以上、これは人間社会につきものの悲…